薬機法と健康食品の関係
「飲むだけで脂肪燃焼!」「毎日頑張るあなたの健康をサポート」こんな謳い文句の健康食品広告を、インターネットやSNSで見かけることはありませんか?
健康食品は現代の健康維持に欠かせない身近な存在となっていますが、その広告表現には厳格なルールがあります。健康食品は医薬品ではないため、病気の治療や予防を目的とする効能効果を表示すると「薬機法違反」となります。
実は上記の例文のうち、「飲むだけで脂肪燃焼!」は薬機法に抵触する可能性が高い表現です。健康食品は一般食品に分類されるため、身体の特定部位への効果や、体の機能に直接変化を与えるような表現は使用できません。
本記事では、健康食品の広告で「どんな表現が薬機法違反となるのか」「なぜNGなのか」を具体的な違反例を交えて詳しく解説していきます。

薬機法とは?
薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品や医療機器などの品質・安全性を確保し、国民の健康と生命を守ることを目的とした法律です。
この法律が直接規制する対象は、以下の5つです。
医薬品
医薬部外品
化粧品
医療機器
再生医療等製品
一方、健康食品やサプリメントは「一般食品」に分類されるため、薬機法の直接的な規制対象ではありません。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年八月十日)(法律第百四十五号)
なぜ健康食品の広告が薬機法違反になるのか?
健康食品は規制対象外なのに、なぜ薬機法違反が問題になるのでしょうか?
その理由は、健康食品が「医薬品的な効能効果」を表示・広告すると、薬機法上「医薬品」とみなされてしまうからです。
薬機法第68条では、「何人も」医薬品等について虚偽・誇大な広告をしてはならないと定められており、この規制は広告主や販売業者など、すべての関係者に適用されます。つまり、一般食品である健康食品が「糖尿病に効く」「血圧を下げる」など病気の治療・予防を謳うと、無承認・無許可で医薬品を販売していることになり、薬機法違反として処罰の対象となります。
薬機法違反になる健康食品の表現

健康食品は薬機法上の分類においては「一般食品」となり、薬機法で規制はされていませんが、医療的な効果があると消費者が誤解してしまうような表現方法で販売、広告すると薬機法違反の対象になることがあります。サプリメントも健康食品と同様、薬機法では一般食品と同じ分類です。ここでは薬機法に抵触する可能性の高い健康食品の表現を紹介します。
医療的な効果効能を表示
健康食品は法律上の定義がなく、厚生労働省では以下のような定義がされています。
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」があります。
出典:厚生労働省 いわゆる「健康食品」のホームページについて
上記のことから、「健康の維持・増進に特別に役立つこと」は広告できても、「病気の改善や、身体の変化、治療」を指すような表現はNGになります。
というわけで、冒頭で紹介した「飲むだけで脂肪燃焼!」という表現は、体の変化を直接的に表現するもので、健康食品では基本的にNGになります。他にも以下のような表現は病気の改善や、身体の変化を表すような表現となりNGです。
「便秘に効く」
「生活習慣病の予防ができる」
「体内の血中濃度を抑える」
アンプル状など医薬品と混合する形状

医薬品で使用される薬の形状で販売すると薬機法違反となります。例えば、注射器のアンプル剤や舌下錠、舌下に落とすような形は健康食品では使えません。「舌下で溶かして効き目を高める」「舌下に垂らして効果を発揮」などの表現も健康食品では認められていないので気をつけてください。
用法用量が明示されている
サプリメントやタブレット錠の健康食品は特に一日の摂取目安が記載されていることは多いですが、摂取する時間・間隔・用量などが具体的に明示されている場合、「医薬品」とみなされる可能性があります。
健康食品は本来用法用量を定義したり、明示する必要はありません。こういった表現をしてしまうと、消費者が医薬品と誤認する可能性があるため、「目安」としての表現にとどめることが重要です。
望ましい表現例(OK)
目安摂取量:1日1粒
1日2~3粒を目安にお召し上がりください
あくまで「目安」であることが分かる表現であれば、基本的には問題になりにくいとされています。
NG表現例
以下のような表現は、医薬品的な用法・用量の指示と受け取られる可能性があります。
「1日に3回」
「食前・食後に飲む」
「○時間おきに摂取する」
これらは、健康食品では避けるべき表現です。たとえ「目安」と記載していても、「フォントが極端に小さい」「目立たない位置に書かれている」といった場合には、消費者に誤解を与える表現としてNGと判断される可能性があります。そのため、社内チェックだけでなく、専門家など第三者の客観的な視点を交えて確認することをおすすめします。
サプリメント、健康食品の薬機法違反とみなす判断基準まとめ
①成分:効果が激しい成分等はNG(国が定めた栄養成分や下限値および上限値の範囲内であること)
②効果効能:病気の改善や治療、身体の変化を述べるのはNG
③剤型:アンプル等はNG(カプセルはOKです)
④用法用量:飲む時間や量を正確に決めるのはNG
効果効能が謳えるケース
ここまで読むと、「食品はすべて健康に関する効果・効能を謳ってはいけないのでは?」と感じた方も多いかもしれません。しかし、食品の中には、一定の条件を満たすことで効果・効能を表示できるケースも存在します。
すべての食品が一律に禁止されているわけではなく、食品の区分や制度に応じて、認められている表現の範囲が異なるという点が重要です。
明らか食品

「明らか食品」とは野菜、果物、菓子、調味料など、外観や形状から見て「明らかに食品である」と認識できるものを指します。
健康食品の場合、医薬品のような表現を用いると消費者が誤認するおそれがありますが、野菜や果物を医薬品と誤解する人は、ほとんどいません。実際に「玉ねぎを食べて血液サラサラ」「生姜の力で体ポカポカ」というように明らかに食品は一般的に効果効能を謳っても基本的に薬機法違反にあたりにくいとされています。
これは、医薬品的な効能効果を期待して摂取するものではない、という社会通念が前提にあるためです。
ただし、明らか食品であっても表現内容によっては健康増進法に抵触するおそれがあります。特に注意が必要なのが、特定の人や疾患を想起させる表現です。
使用を避けるべき表現例
「塩分を制限している人に」
「カロリー制限が必要な方へ」
これらは特定の健康状態や疾患を前提とした表現と受け取られる可能性があるため使用できません。
病気や症状を直接的に表現せず、あくまで体調や生活習慣レベルの言い回しに留めることが重要です。「血圧が気になる方へ」「免疫力UP」のように言い換えることで、薬機法・健康増進法の観点からリスクを下げることができます。
保健機能食品

画像引用:消費者庁|機能性表示食品って何?
もう一つ、効果・効能を認められた範囲で表示できる食品として挙げられるのが「保健機能食品」です。
保健機能食品は、次の3つに分類されます。
① 特定保健用食品
② 機能性表示食品
③ 栄養機能食品
これらはいずれも、食品としての安全性や、有効成分に関する一定の基準が定められている食品を指します。
中でも、特定保健用食品は、「トクホ」という名称で、テレビCMなどでも耳にしたことがある方が多いかもしれません。トクホは、国による個別の審査・許可を受けたうえで、効果・効能の表示が認められている食品です。
一方で、機能性表示食品や栄養機能食品は、消費者庁長官に届け出ることにより特定の保健目的の表示が可能になりますが、事業者の責任において表示が行われる制度となっています。これらは、国が個別に効果を審査・許可したものではありません。
健康食品の代表的なOK・NG例

ここからは健康食品のジャンルごとによくあるNG例とOKになるための言い換え表現について紹介します。
美容ジャンル
美容ジャンルの健康食品は特に、美肌やアンチエイジングなど、身体の変化に直接関わるような記載をしがちです。もちろん、これはNGなので、あくまでサポートをするのが健康食品であると表現する必要があります。
NG例
肌荒れ予防
老化予防など肌に関する○○予防
美肌効果
シワ改善
アンチエイジングなど肌改善に関する記載
OK例
美しい毎日のサポートに
毎日のお肌ケアをサポート
毎日元気に
ハリのある毎日
自分が好きになる
ダイエットジャンル
ダイエットジャンルの健康食品も、飲めば痩せるや代謝促進など、身体の変化に関わる記載をしがちです。こちらもあくまで毎日の健康づくりのサポートや栄養補給である旨の記載に置換ましょう。
補足:「置換食品」
食事の代わりに低カロリーな食品に置き換えることで、物理的にカロリーを減らすことが可能な「置換食品」があります。この場合は「痩せる」ことが明らかなので「ダイエット」を使用しても問題ないケースもあります。ただし、お腹や脚など特定の部位や、身体の機能に効果を与えるといった表現はNGとなりますので、やはり表現には十分注意しましょう。
NG例
飲むほど痩せる
代謝促進などダイエット効果があるような記載
デトックス効果
お通じ改善
コレステロール低下など体内部の改善効果
OK例
ダイエット時の栄養補給
日々の運動のサポートに
生活リズムを整える
気分リフレッシュ
毎日イキイキとした生活に!
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はサプリメント等の身近な健康食品について薬機法の観点からの解説でした。健康食品については昨今薬機法の規制が厳しくなっているので、特に注意をして薬機法に抵触しない表示を心がけましょう。
・健康食品は一般食品にあたるため、効果効能の表現はできない。また、用法用量や剤型、成分にも注意が必要です。
・サプリメントも一般食品にあたるため、効果効能などの表現はできない。
・誰が見ても明らかな食品なら医薬品と誤解する人はほとんどいないため、効能を述べても薬機法違反にはならないが注意が必要。
・保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品)に関しては認められている範囲であれば効果効能の表現は可能。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、顧客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。
皆で正しい広告表現を目指していきましょう!
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