化粧品・健康食品での「日焼け止め」「飲む日焼け止め」表現!言い換え含め薬機法・景表法に基づき徹底解説

テーマ「日焼け止め」「飲む日焼け止め」の広告表現は?化粧品と健康食品の違い、言い換えの表現を解説

暖かくなってくると気になるのが日焼け対策やUVケア。市場には日焼け止めや化粧下地など多くの商品が販売されています。最近では「飲む日焼け止め」などの日焼け対策サプリメントも注目されています。化粧品や健康食品において、日焼けに関する広告表現は法令に基づいて制約されており、過剰な広告表現は薬機法に違反するものと判断される可能性があります。

この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

「日焼け止め」での表現

先輩社員Aさん:これから日焼け対策の商品について広告で注意すべき点を教えますね。特に日焼け止めや飲む日焼け止めの商品については、薬機法という法律による規制が重要なんです。

新人社員Bさん:はい、お願いします。何から知っておけばいいですか?

化粧品の日焼け止めで表現できる効果効能

先輩社員Aさん:まず、日焼け止め化粧品の広告で使える表現について説明しますね。化粧品は認められた表現が56個あり、日焼けに関する効果効能は以下2つのみなんです。

・日焼けを防ぐ
・日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ

参照:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号) 各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より

新人社員Bさん:他の表現は使えないんですか?

先輩社員Aさん:そうです。この2つの表現以外は使えませんし、これらの表現も事実に基づいていることが条件です。例えば、紫外線を物理的に遮断する効果がある製品や、UV防止成分が含まれている商品でなければなりません。

「しばり表現」の重要性

先輩社員Aさん:次に「しばり表現」について話しましょう。「しばり表現」というのは、商品の効果効能を広告する際に、必ず一緒に表示しなければならない決まった言葉のことです。

新人社員Bさん:具体的にはどんな文言ですか?

先輩社員Aさん:例えば、「日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ」という表現は「日焼けによる」という部分を省略してはいけません。シミやソバカスが日焼け以外の原因でも発生するため、日焼けに限定していることを明確にする必要があります。

新人社員Bさん:なるほど。日焼けが原因であることをきちんと示すために、必ず「日焼けによる」という部分を入れなければならないんですね。

薬用化粧品の日焼け止めで表現できる効果効能

先輩社員Aさん:薬用化粧品は承認された効果効能までを広告表現することが認められています。日焼け対策商品については、「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」といった効果効能を表現できます。ただし、「メラニンの生成を抑え」という「しばり表現」があるので「シミ、ソバカスを防ぐ」だけの表現では不十分です。

新人社員Bさん:じゃあ、「シミ、ソバカスを防ぐ」だけではダメなんですね。

先輩社員Aさん:その通りです!薬用化粧品はあくまで「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」ものなので、既にできてしまったシミやソバカスへの効果効能をアピールする表現は薬機法に違反します。

新人社員Bさん:既にあるシミやソバカスに効くと言うことはできないんですね。

「最強の日焼け止め」の表現について

先輩社員Aさん:紫外線による肌への影響を防ぐために、化粧品には「SPF(Sun Protection Factor)」、「PA(Protection Grade of UVA)」という指標が使用されています。これらの値が最大値「SPF50+/PA++++」であることを根拠に「最強の」という表現を見かけることがあります。

新人社員Bさん:それって「SPF50+/PA++++」であるという具体的なデータがあれば問題ありませんか?

先輩社員Aさん:例え根拠となるデータがあっても「最強」という表現は最上級表現となり、効果効能を保証する意味が含まれるため、法令に抵触する可能性があります。具体的な情報を提供し、さらに「会社名またはブランド名内」での自社比較を明示することで記載できる場合もありますが、文脈や見せ方によっては違反となる可能性もあるので、専門家に確認することをおすすめします。

新人社員Bさん:具体的な情報と文脈の工夫が必要なんですね。

化粧品・薬用日焼け止めでの違反事例

先輩社員Aさん:他にも違反となる例をいくつか挙げて説明しますね。例えば、以下のような表現が違反になります。

「完全にUVカット」

日焼け止めが完全にUVカットすることは不可能であり、誤解を招く表現です。

「シミ・そばかすを根本から消す」

シミ・そばかすを「根本から消す」という効能を謳うことはできません。化粧品でも医薬部外品でもNGです。

新人社員Bさん:こういった表現はすごく魅力的に見えますが、法律に違反しているんですね。表現できる効果効能で説明してもらった内容で訴求するようにします!他にもうまくアピールする方法はありますか?

化粧品・薬用日焼け止めでの言い換えテクニック

先輩社員Aさん:表現できる効果効能で説明した以外にも、使用感や事実に基づいたスキンケア効果を謳えるんです。例えば、以下のような表現はOKです。

「紫外線をカット」
「軽いつけ心地」
「ウォータープルーフ」
「ベタつかない」
「紫外線による肌ダメージを防ぐ」
「肌を健やかに保つ」
「潤いを与える」 ※保湿成分が含まれていれば可能。

新人社員Bさん:分かりました。使用感やスキンケア効果も上手に伝えることが大切なんですね。

飲む日焼け止めの広告表現

先輩社員Aさん:飲む日焼け止めは錠剤やドリンクタイプがあり、飲むだけで日焼け止め効果が得られるサプリメントとしてSNSやテレビで話題になった商品です。

新人社員Bさん:飲むだけで日焼け止め効果が得られるなんて便利ですね!でも、それって本当に効果があるんですか?

先輩社員Aさん:実は、これらの商品は実際には日焼け止めとしての効果は科学的な根拠がほとんどないとされています。通常の日焼け止めは、紫外線防止剤などが含まれており、SPFやPA値に基づいた効果が評価された「化粧品」あるいは「薬用化粧品(医薬部外品)」です。

新人社員Bさん:なるほど、飲む日焼け止めはどんなカテゴリーに入るんですか?

先輩社員Aさん:飲む日焼け止めは「健康食品」や「機能性表示食品」に該当します。そのため、「飲む日焼け止め」と表示することは薬機法違反です。

新人社員Bさん:飲む日焼け止めという名前も謳えないんですね。

飲む日焼け止めでの違反事例

先輩社員Aさん:「1粒で紫外線カット」という表現も科学的根拠が一切ないので、薬機法違反になる可能性があります。まとめると以下のような表現は避けた方が望ましいです。

「1粒で紫外線カット」
「飲むだけで日焼けを完全に防ぐ」
「紫外線を完全にブロック」

新人社員Bさん:飲む日焼け止めは日焼けに関しては一切言えないのですね、、、なにか訴求できるポイントはありますか?

飲む日焼け止めでの言い換えテクニック

先輩社員Aさん:直接「日焼けを防ぐ」とは言えないんですが、美容や健康のサポートという観点から訴求できます。例えば、以下のような表現に留めましょう。

「健康をサポート」
「ビタミンCが紫外線によるダメージをケア」
「毎日の美容ケアに」
「健康的な肌を保つ」

新人社員Bさん:なるほど。日常的な美容や健康のサポートとして効果をアピールすればいいんですね。

Q&A この表現言える?言えない?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。

Q.「飲むUVケア」という表現は可能でしょうか?

A.「飲む日焼け止め」そのもののワードだけでなく、同じように解釈される表現も認められていません。そのため「飲むUVケア」という表現もできません。他にも以下のようなワードが「飲む日焼け止め」と同じように解釈されます。

・飲む日差し対策
・飲むだけで紫外線カット
・1粒で紫外線カット
・飲む太陽ケア

Q.「飲む日焼け止め」の言い換え表現があれば教えてください。

A.飲む日焼け止めと言われる商品は「食品」にあたり、日焼け防止効果があるような訴求は一切できません。「美容のために」「健康維持のために」といったサポート表現に留めておきましょう。

Q.「絶対に焼けない日焼け止め」という表現は可能でしょうか?

A.「絶対に焼けない」「完璧な白肌」のような、完全/万能を意味する表現は、保証的表現となり化粧品や医薬部外品では標ぼうできません。これは日焼けが「絶対に」起こらないことは合理的な根拠が得られないと考えられるためです。「ウォータープルーフ」など落ちにくさをアピールするようにしましょう。

まとめ

・化粧品の日焼け止めで表現できる効果効能は「日焼けを防ぐ」「日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ」のみ

・薬用化粧品の日焼け止めで表現できる効果効能は「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」のみ

・最上級表現である最強や強力な日焼け止めという訴求は基本的にはNG。具体的な情報や自社比較を明示すると記載できる場合がある

・飲む日焼け止めは食品にあたるため「日焼け止め」と表示することは薬機法に違反する

先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。

新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。

先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!

新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。

先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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