除毛クリームや除毛剤は、美容サロンや自宅で手軽にムダ毛処理ができるアイテムとして広く利用されています。「除毛」とは文字通り「毛を取り除く」という意味を持ち、肌表面のムダ毛を除去することでツルツルな肌を実現します。非常に魅力的な内容ですが「除毛」効果の表現は厳格なルールに基づいています。これに違反すると、薬機法に抵触する可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。
今回の記事では「除毛剤」「除毛クリーム」は広告表現において、薬機法上どのように表現できるのかを詳しく解説します。
「除毛剤」「除毛クリーム」とは?
日本の薬機法に基づき、体毛を取り除く製品はその作用や成分により「除毛剤」と「脱毛剤」に分類され、それぞれ異なる特徴と規制があります。
「除毛剤」とは皮膚表面に生えている毛を化学的に軟化させ分解して除去する薬剤です。除毛剤はすでに生えている毛を除去する「除毛」の効果のみを表現できます。毛の成長を抑制する「抑毛」効果を謳うことは、薬機法に違反する可能性があるため注意が必要です。除毛クリームは一般的な商品で、クリーム状の他にもペースト状や泡状のものがあります。除毛剤はその効能効果から医薬部外品しかありません。もし医薬部外品でない場合、薬機法に抵触する可能性があるため商品の表現には十分な注意が必要です。
「脱毛剤」とは?
脱毛剤は物理的な力を利用してむだ毛を毛根から引き抜く製品です。これらは薬機法に基づく商品分類上、雑貨に分類されます。ワックス、ジェル(ゼリー)、テープなどがあります。
医薬部外品の「除毛剤」で避けるべきNG表現
医薬部外品の除毛剤には以下の特性があります。
・使用目的:除毛を目的とする外用剤である。
・主な剤型(形状):軟膏剤、エアゾール剤
・効能または効果:除毛
となり、化粧品はありません。医薬部外品で認められる効果効能の範囲は次の通りです。
「除毛剤」や「育毛剤」の効果効能の範囲
【化粧品等の適正広告ガイドライン 2020年度版】より抜粋
除毛剤や除毛クリームでは基本的に「除毛」効果以外の表現はできません。以下は、除毛剤に関する広告や表現で使用してはいけないNG表現の一例です。これらの表現を避けることで、薬機法に抵触するリスクを減らしましょう。
効果効能に関する禁止表現
・「生えない」
・「生えてこない」
・「脱毛」
・「永久脱毛」
・「毛が細くなる」
・「毛が薄くなる」
・「毛を減らす」
専用・対象に関する禁止表現
・「毛深い方に」
病名に関する禁止表現
・「脱毛症」
・「抜毛症」
・「円形脱毛症」
効果効能の保証に関する禁止表現
・「100%」
・「必ず効く」
・「確実」
・「絶対」
・「完全」
Q&A この表現言える?言えない?
ここからは当社でもよくご質問いただく表現について解説いたします。
Q:除毛クリームを「敏感肌用」や「低刺激」と謳って販売できますか?
A:製品が実際に低刺激性であることを科学的かつ客観的に証明するデータがあれば可能です。詳細は「不実証広告ガイドライン」を確認してください。
参考:不実証広告規制 消費者庁
Q:除毛剤の広告で「医療レーザーと同じ効果」と記載することは可能ですか?
A:「医療レーザーと同じ効果」という表現は医薬的だと誤解を招く恐れがあり、薬機法に違反する可能性があります。医療機器と同じ効果を謳うことはできません。
Q:除毛クリームのパッケージに「100%効果保証」と書くことはできますか?
A:効果を過度に保証することは消費者を誤解させるため禁止されています。他にも「確実」「絶対」など効果効能の保証は薬機法で禁止されています。
まとめ
広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。
・「除毛剤」「除毛クリーム」は医薬部外品のみでしか販売できない。
・「脱毛剤」は物理的にムダ毛を除去する方法で、ワックス、ジェル(ゼリー)、テープなどがあるが、テープの場合は医薬部外品ではなく「雑貨」に分類される。
・医薬部外品の「除毛剤」「除毛クリーム」は除毛に関する効果効能しか表現できない。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。
皆で正しい広告表現を目指していきましょう!
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