健康食品・化粧品「ダイエット」「痩せる」は表現できる?言い換え含め薬機法・景表法に基づき徹底解説

テーマ 「ダイエット」「痩せる」は表現できる?化粧品と健康食品の違いや言い換えの表現を解説

日常生活でよく耳にする「痩せる」や「細くなる」という言葉は、実は薬機法や景表法といった法律によってその使用が厳しく規制されていることをご存じでしょうか。これらの表現を含む製品やサービスを市場に提供する事業者は、消費者の注目を集め競争力を高めるために差別化を図ります。しかし、ここで最も重要なのは、薬機法や景表法と呼ばれる法律の枠組み内で行動することです。特に体重管理や体形変化を目的とした製品やサービスを扱う場合、これらの法律の理解と遵守は不可欠です。

この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

薬機法とは?

新人社員Bさん:先輩、そもそも「薬機法」って、どういう法律なんですか?名前はよく聞くんですけど、正直ちゃんと理解できてなくて…。

先輩社員Aさん:いい質問ですね。薬機法は正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といって、医薬品や医療機器などの品質や安全性を守るための法律です。

新人社員Bさん:かなり長い名前ですね!目的としては、どんなことを守る法律なんですか?

先輩社員Aさん:簡単に言うと、危ないものや効果があいまいなものが、医療や健康に関わる商品として出回らないようにするための法律です。国民の健康や命を守ることが一番の目的ですね。

新人社員Bさん:なるほど…。では、薬機法で直接ルールが決められているものはどんなものがありますか?

先輩社員Aさん:薬機法が直接規制している対象は、次の5つです。

医薬品
医薬部外品
化粧品
医療機器
再生医療等製品

新人社員Bさん:あれ?健康食品やサプリメントは入っていないんですね。

先輩社員Aさん:そうなんです。健康食品やサプリメントは、法律上は「一般食品」に分類されるため、薬機法の直接的な規制対象ではありません。

第一条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年八月十日)(法律第百四十五号)

なぜ健康食品の広告が薬機法違反になるのか?

新人社員Bさん:規制対象ではないのに「健康食品の広告が薬機法違反になる」って、どういうことなんですか?

先輩社員Aさん:理由はシンプルで、健康食品が「医薬品みたいな効能効果」を表示・広告してしまうと、薬機法上「医薬品」とみなされてしまうからです。たとえば健康食品なのに、「糖尿病に効く」「血圧を下げる」「病気を予防する」といった表現をすると、それは治療・予防を目的とした医薬品の表現になります。

新人社員Bさん:なるほど…。そうなると、承認も許可も受けていない医薬品を販売している状態になるんですね。

先輩社員Aさん:その通りです。薬機法第68条では、「何人も」医薬品等について虚偽・誇大な広告をしてはならないと定められています。広告主だけでなく、販売業者や制作に関わった人など、関係者すべてが対象になります。

健康食品での「ダイエット」「痩せる」表現

新人社員Bさん:なるほど…。では、健康食品の広告でも注意しないといけない表現があるということですね。

先輩社員Aさん:はい。健康食品には、薬機法、景表法、健康増進法の3つの法律が関わってきます。医薬品的な効能や効果を表示すると薬機法上の医薬品と見なされるので、「痩せる」や「細くなる」という表現は基本的に使えません。

新人社員Bさん:なるほど。魅力的な訴求ですが、健康食品では全く謳えないんでしょうか?

先輩社員Aさん:健康食品だけでなく運動や食事制限も併用した結果であれば「痩せる」と表現できる場合もあります。ただし、その際には合理的な根拠を示すことが重要です。

新人社員Bさん:具体的にどんな根拠が必要なんですか?

先輩社員Aさん:例えば、臨床試験の結果や科学的な研究データを示すことです。また、健康食品のみの効果ではなく、総合的な生活習慣の一部として表現することが必要です。「○○を飲んだだけで痩せた」や「食事制限しなくても痩せる」といった表現は避けるべきです。

わざと見えにくいフォントサイズで注釈を入れるような広告も多く見受けられますが、十分に注意しましょう。誰が見ても正しく伝わる表現を意識することで消費者が安心してお買い物できる環境となり、企業を守ることにもつながります。

健康食品での違反事例

新人社員Bさん:他にも注意が必要な表現はありますか?

先輩社員Aさん:例えば、以下のような医薬品としての効果や特定部位や症状や病名の記載、用法用量の指定、行政機関が認めたような表現も禁止表現となります。

「脂肪を燃焼させる魔法のサプリ!」
「これを飲むだけで誰でも簡単にスリムに」
「痩せやすい体質に」
「たった3日で体重5kg減!」
「お腹の脂肪を減らすカプセル」
「このサプリで脚が細くなる」
「腸内環境を整えてスッキリ」
「1回〇粒でOK」
「〇〇大学が認めた」
など

健康食品での言い換えテクニック

新人社員Bさん:具体的にどんな表現が許容されるんでしょうか?

先輩社員Aさん:例えば「健康維持のために」「美容のために」「必要な栄養素を補う」といった表現は問題ありません。また、「飲みやすい味」「おいしい」「香りが良い」といった使用感や味の感想などの表現も問題ありません。具体的には以下のようなイメージです。

「日常の健康維持をサポートするサプリメント」
「バランスの取れた栄養補給をサポート」
「健康的な食生活を応援するサプリ」
「運動と合わせて飲むことで健康管理に」
「毎日の元気をサポートする栄養素を配合」

新人社員Bさん:基本的には健康維持や美容のサポート表現であれば問題ないということですね。

化粧品での「ダイエット」「痩せる」表現

新人社員Bさん:健康食品では「痩せる」といった表現が使えないことは分かりましたが、化粧品の場合はどうなんでしょうか?

先輩社員Aさん:いい視点ですね。ボディクリームやマッサージオイルなど、体のケアを目的とした化粧品でも「引き締め」や「スリム」といった表現を見かけることがありますよね。

新人社員Bさん:確かに、広告で「細くなる」といった表現を見たことがある気がします…。

先輩社員Aさん:しかし、化粧品であっても「痩せる」や「細くなる」といった体形の変化を直接示す表現は、薬機法や景表法の観点から使用できません。

化粧品での違反事例

先輩社員Aさん:化粧品は「清潔に保つ」「美しくする」「魅力を高める」ことを目的としています。「塗るだけで痩せる」「足が細くなる」といった表現は、消費者を誤解させる恐れがあるため薬機法によって禁止されています。他にも以下のような表現はNGなので注意しましょう!

3 「化粧品この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年八月十日)(法律第百四十五号)

「脂肪を燃焼させる魔法の美容液!」
「この化粧品で誰でも簡単にスリムに!」
「お腹の脂肪を減らすクリーム!」

化粧品での言い換えテクニック

新人社員Bさん:化粧品でダイエット表現は一切できないんでしょうか?

先輩社員Aさん:はい、表現できないです。ただし、化粧品では認められている56の項目があるので化粧品の効果効能を超えないよう文脈で調整するのもテクニックです。例えば「肌がひきしまる」「肌にはりを与える」「肌にツヤを与える」「肌を滑らかにする」といった表現は許されます。

他にも以下のように、マッサージ効果によるものや運動後のケアに最適といった表現も可能ですよ!

「マッサージでスッキリした印象に」
「エクササイズ後の肌ケアに最適」
「なめらかな肌へ導くボディローション」
「肌にハリを与えるボディオイル」

参考:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号)各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より

 

Q&A この表現言える?言えない?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。

Q.マッサージ機器であれば「1ヶ月で痩せる」「細くなる(スリム)」という表現は可能でしょうか?

A.筋肉の運動のみを目的としているマッサージ機器の場合、薬機法には該当しませんが雑貨(ダイエット器具)を使っただけで痩せるという表現は医薬的に捉えられるため表現できません。「振動によりめぐりをよくする」などであれば可能です。

Q.「肥満の方に」「コレステロールが高めの方に」という表現は可能でしょうか?

A.症状や病名の記載をすると医薬品とみなされるため表現できません。「健康維持のために」「必要な栄養素を補う」など一般的な健康維持や美容への貢献を表現することは可能です。

Q.健康食品で「1日に3回」「食前食後に飲む」という用法用量の指定はできますか?

A.健康食品で服用する時間や間隔、用量などが明示されていると医薬品とみなされるため表現できません。「1日2~3粒が目安」など「目安」をつければ基本的に問題ありません。

まとめ

・健康食品では以下の場合であれば表現可能。
  事実に基づく合理的な根拠がある
  運動や食事制限も行った結果であることを明記する場合
  身体に対する具体的作用を表記せず、健康の維持に重要であることだけを示すこと

・化粧品では「ダイエット」「細くなる(スリム)」という標ぼうは一切表現できない。

先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。

新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。

先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!

新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。

先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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