洗顔料の薬機法規制について表現の基準を解説!効果効能、毛穴について言える?

こんにちは、マクロジの中島です。
美容製品の中でも洗顔料は、多くの人が日常的に使用する欠かせないアイテムとなっています。

しかしこの商品群には、化粧品洗顔料と薬用洗顔料といったカテゴリーの違いが存在し、それに伴う法的な規制や広告戦略の違いを理解することがEC事業者には求められています。

本記事では、EC事業者がその適用範囲で訴求をするためのポイントを探ります。

洗顔料の表現

洗顔料は化粧品と医薬部外品(『薬用』と表記できる洗顔料)に分かれており、その分類に応じて訴求できる表現が異なります。

化粧品と薬用洗顔料の差異

薬機法に基づく法的規制により、化粧品洗顔料と薬用洗顔料は明確に区別されています。

化粧品の洗顔料は洗浄が主体であり、特定の効能効果は期待できません。対照的に、薬用洗顔料には殺菌成分が含まれ、ニキビ予防などの効果が期待されます。

しかし、薬用化粧品で有効成分が規定量処方されていても、あくまで「予防の範囲内」で効果はそれほど謳えないのが実情です。

特に洗顔料は「肌の表面の汚れを落とし、皮膚を清潔に保つ」ことが目的のため、同じ薬用化粧品の化粧水や美容液などに比べると、使える表現は少なくなります。

化粧品洗顔料の効能

化粧品には、医薬品等適正広告基準で定められた56の効能が存在します。これには、皮膚の洗浄、ニキビの防止、キメの整った肌を保つ効果などが含まれます。

洗顔料で透明感を強調する際は、汚れを落とすことでキレイになるという意味合いになるように適切な表現を心掛けましょう。

例えば、打ち消し表現などを使い「透明感とは、汚れが落ちキメの整った肌印象のこと」と明記する必要があります。

▼化粧品の56の効能のうち、洗顔料で使用できるもの

(汚れをおとすことにより)皮膚を洗浄する
(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
肌を整える
肌のキメを整える
皮膚をすこやかに保つ
肌荒れを防ぐ
肌をひきしめる
皮膚にうるおいを与える
皮膚の柔軟性を保つ
肌を柔らげる
肌を滑らかにする

薬用洗顔料の効能

薬用洗顔料を含む薬用石けんには、化粧品の洗顔料の効能以外にも特定の効能効果が認められています。殺菌剤や消炎剤の主剤を含むものは、皮膚の清浄・殺菌・消毒、体臭・汗臭及びニキビの予防が期待できます。

透明感は、化粧品の洗顔料と同様の表現しか謳うことができません。

広告表現に潜む落とし穴

一方で、注意が必要な表現も存在します。

特に「メラニン」に関連する表現はシミ予防と結びつき、慎重な言葉選びが求められます。
洗顔料の表現では過去に「メラニンを含む古い角層を落とす( 洗い流す)」は、「合理的な根拠の認められない不当表示」と判断された事例があります。

従って、「メラニン」を含む言葉は使用できないと考えたほうが良さそうです。

Q&A これはOK表現?NG表現?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について解説いたします。

Q:「肌が明るく」という表現は可能でしょうか?

A:洗浄によって汚れが落ちた結果として、肌の印象が明るくなるという表現であれば可能です。肌色の改善は効能効果を逸脱すると判断される可能性がありますので、「肌印象が明るくなる」など主観的な表現にするようにしましょう。

Q:「ニキビをリセット」という表現は可能でしょうか?

A:肌の好ましくない状態(肌荒れやニキビなど)をリセットするという表現は不適切と判断されます。
洗顔料は「肌の表面の汚れを落とし、皮膚を清潔に保つ」ことが目的のため、あくまでも洗浄による効果の範囲内での訴求が必要です。「洗顔で汚れをリセット」であれば使える範囲の言葉です。

Q:「毛穴汚れをすっきり」という表現は可能でしょうか?

A:洗浄で汚れが落ちたことを表す表現のため可能です。
ただし、「広がった毛穴を引き締める」「毛穴を小さくする」など「毛穴の形状変化」を想起させる表現になると、洗顔料の効能効果からの逸脱となるので注意しましょう。

まとめ

・洗顔料は肌を洗浄し、清潔に保つことを主たる目的とする。

・化粧品の洗顔料は医薬品等適正広告基準の範囲内で、洗浄効果や整肌効果をアピールできる。

・薬用洗顔料はニキビの予防など特定の皮膚トラブルへの効果を謳うことができる。

・物理的な汚れ落ちであれば「透明感」と表現できるが、打ち消し表現を使用して「汚れが落ちキメの整った肌印象のこと」などと説明する必要がある。

参考:https://bentenmarket.com/blogs/bathsalts-sweating

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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