テーマ「入浴剤」「入浴料」の広告表現は?化粧品と医薬部外品、雑貨の違いや言い換えの表現を解説
寒くなってくるとのんびりと湯船につかる機会も増えますよね。そんな時に使用したいのが入浴剤。しかし、入浴剤の広告表現は法令に基づいて制約されており、過剰な広告表現は薬機法に違反するものと判断される可能性があります。
この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

「入浴剤」「入浴料」の表現

先輩社員Aさん:今日は入浴剤と入浴料の表現について、薬機法の観点から注意点を説明しますね。
新人社員Bさん:入浴剤も注意が必要なんですね。ところで入浴剤と入浴料って違いがあるんですか?
先輩社員Aさん:そうなんです。入浴剤は医薬部外品に分類され、入浴料は化粧品、雑貨は名前の規定はありません。この三つのカテゴリに分かれていて、分類によって訴求できる表現が異なります。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年八月十日)(法律第百四十五号)
医薬部外品の入浴剤表現
新人社員Bさん:それぞれどう違うんですか?
先輩社員Aさん:医薬部外品は、厚生労働省が許可した成分が一定の濃度で含まれていて、治療というよりは「防止・衛生」を目的にしています。医薬部外品として認められている入浴剤の効果効能は「浴用剤製造販売承認基準について」(厚生労働省医薬食品局長・薬食発0325第39号)にて、以下のように定められています。
あせも、荒れ性、打ち身(うちみ)、くじき、肩の凝り(肩のこり)、神経痛、湿しん(しっしん)、しもやけ、痔、冷え症、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後
の冷え症、にきびとする。
出典:「浴用剤製造販売承認基準について」(厚生労働省医薬食品局長・薬食発0325第39号)浴用剤製造販売承認基準 2.基準(6)効能又は効果 より
薬用入浴剤の効果は“温浴効果”が前提
先輩社員Aさん:入浴剤の効果は、厚生労働省の基準でも「お湯に溶けることで温浴効果を高め、その結果として諸症状が緩和される」と定義されています。つまり、有効成分そのものが直接「肩こりに効く」「血行を改善する」というわけではなく、あくまで温まる作用(温浴効果)が高まることで、血行促進やコリの緩和が期待されるという位置づけなんです。
新人社員Bさん:成分が直接効く薬ではないということですね。
先輩社員Aさん:そうです。そのため、広告表現でも「温浴効果を高めて」「温浴効果による」といった補足が必要になります。例えば以下のようにアピールできますよ。
「湯船につかることで温浴効果を高め、血行を促進。有効成分(乾燥硫酸ナトリウム)が毎日の疲れや冷えをやわらげます。」
「湯船につかることで温浴効果を高め、肩のこりや腰痛に効きます。」
このように必ず温浴効果であると明記が必要です。
血行促進は“温浴効果によるもの”ならOK
先輩社員Aさん:実は「血行促進」という言葉そのものは、医薬部外品の効能として単独では認められていません。ただし、「有効成分が温浴効果を高め、その結果として血行が促される」という流れであれば表現できます。
新人社員Bさん:直接「血行促進に効く」って書くのはNGなんですね。
先輩社員Aさん:そうなんです。「温浴効果を高めて」という前置きが入ることで、薬機法上OKになります。
医薬部外品での違反事例

新人社員Bさん:なるほど。この表現は使えないというのもありますか?
先輩社員Aさん:ありますね。「有効成分が肩のこり、腰痛に効く」といった成分に効果があるような表現や治療効果や科学的証拠のない効果、医薬品的効能の記載などは使えないです。具体的には以下のような内容です。
有効成分そのものに効果があるような表現
例:有効成分が肩のこり、腰痛に効く。有効成分(乾燥硫酸ナトリウム)が血行を促進し、毎日の疲れや冷えをやわらげます
治療効果
例:この入浴剤は関節炎を治します。
疾病予防効果
例:この入浴剤を使えば、風邪をひきません。
医師の推薦
例:〇〇医が認めた成分です。
科学的証拠のない効果
例:この入浴剤は体内の毒素を全て排出します。
医薬品的効能の記載
例:この入浴剤は皮膚炎を治します。
安全性の保証
例:この入浴剤は完全に安全です。
不適切な比較
例:他のどの製品よりもこの入浴剤は優れています。
使用前と使用後の肌の違い
例:この入浴剤を使う前は肌が乾燥していましたが、使った後はしっとりと潤いました。
化粧品の入浴料表現

先輩社員Aさん: 化粧品の場合は、化粧品の56の効果効能範囲表内の表現であれば、薬機法上問題ありません。例えば以下のように表現できます。
「温まった身体をやさしく保湿し、すべすべとした肌触りへ。」
「温かいお湯と香りに包まれ、心までほぐれるような贅沢なひとときを。」
「うるおいあふれるキメの整ったしっとり肌へ」
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38)芳香を与える。
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
注1)例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2)「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3)( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。
出典:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号) 各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より
化粧品でのNG表現

新人社員Bさん:なるほど。化粧品での表現できない内容は医薬部外品と同様ですか?
先輩社員Aさん:先ほど述べた治療効果や疾病予防効果の表現、安全性の絶対的保証などは、どちらのカテゴリーでもNGです。違う点は、医薬部外品は認められていれば「疲労回復」「冷え症」など一定の効果効能を謳えますが、化粧品は一切表現できません。具体的には、以下のような表現ができません。
「毎日の疲れや冷えをやわらげます。」
「温浴効果で血行を促進してコリを解消します。」
「冷え症に効く」
「入浴剤で身体の芯からポカポカ温まる」
「〇〇の香りでストレス解消」
また、温浴効果や血行促進に関しては化粧品では言えません。
雑貨(雑品)での違反事例

先輩社員Aさん:雑貨では現在のところ明確な法律は存在しませんが、人体への効果効能を謳う表現が含まれる場合、薬機法に触れることになるんです。
新人社員Bさん:具体的にはどんな表現がNGなんですか?
先輩社員Aさん:雑貨も化粧品と同様で、治療効果や疾病予防効果の表現などはNGです。医薬部外品のOK表現である「疲労回復」や「肩のこりをほぐす」なども雑貨では一切表現できません。さらに化粧品で認められている56個の表現も言えません。具体的には以下がNGです。
「肩こり、腰痛をほぐす」
「身体の芯から温まる」
「この入浴剤で肌がしっとりと潤います。」
「うるおいあふれるキメの整ったしっとり肌へ」
また、温浴効果や血行促進に関しては雑貨では一切言えません。
新人社員Bさん:言えることはほとんどないですね…雑貨の入浴剤で謳えることはあるんでしょうか?
雑貨(雑品)での言い換えテクニック
先輩社員Aさん:人体に影響を及ぼすことを表現せずに、入浴剤の香りや色を楽しむという表現は基本的には問題ありません。例えば「バスタイムを楽しむ」といった表現です。雑貨は身体への効果効能は一切うたえないため、機能ではなく「雰囲気」「気分」「使用シーン」などであればOKです。
「アロマの香りでバスタイムを楽しむ」
「お湯がピンク色に変わり、リラックスタイム」
新人社員Bさん:なるほど。法律の動向に常に注意して、正しい表現を使うことが重要ですね。
Q&A この表現言える?言えない?
ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。
Q.「しっとり滑らかな湯上がり感」は表現可能でしょうか?
A.しっとり滑らかという表現は化粧品の56の効能効果内ですので、医薬部外品や化粧品では表現可能です。雑貨では表現できません。
Q.「湯船につかることで温浴効果を高めて、めぐりを良くします」という表現は可能でしょうか?
A.医薬部外品、化粧品、雑貨のすべてで表現ができます。ただし、入浴剤の効果ではなく温浴効果によることを記載する必要があります。
Q.「この香りは鎮静効果があります」という鎮静効果は表現できますか?
A.こちらは人体に影響を及ぼす表現のため、入浴剤では表現できません。
まとめ

・入浴剤は「医薬部外品」「化粧品」「雑貨」と分類が分かれ、それぞれ表現できる範囲が異なる
・医薬部外品の場合は承認された範囲内で表現する
・温浴効果に関しては医薬部外品のみ言える。
・血行促進は温浴効果によることを明記すれば医薬部外品のみ言える。
・化粧品は56の効果効能範囲表の表現を参考に表現する
・雑貨は人体に影響することは表現できないため、色や香りにフォーカスして表現する
先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。
新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。
先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!
新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。
先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!
・・・
最後までお読みいただきありがとうございます。
広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。
皆で正しい広告表現を目指していきましょう!
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