セール期間における二重価格表示とは?景品表示法の基本と違反事例をわかりやすく解説

ECサイトを運営する上で押さえておかなければならない法律の一つが景品表示法です。二重価格表示は実際の販売価格よりも高い価格を「通常価格」として表示し、安さをアピールする手法です。適切に行えば合法ですが「通常価格」が実際の価格と異なる場合は景品表示法違反となります。

本記事では二重価格表示の詳細や違反事例などを紹介し、違反時のペナルティについても分かりやすく解説します。

景品表示法とは

正式名称を不当景品類及び不当表示防止法といいます。略して「景表法」とも言われます。この規制によって、消費者が商品やサービスを適切に選択できるようになります。

景品表示法は大きく分けて下記2種類の規制があります。

1.過剰な景品の提供を禁止
2.消費者に誤解を招くような表示を禁止

つまり、一般消費者に商品・サービスの品質や価格について、実際のものより著しく優良であると誤認される表示を禁止しています。

二重価格表示

二重価格表示とはECサイトや店頭のPOPなどで販売価格とは別に通常価格を併記して表示する方法です。例えば「当店通常価格〇〇円のところ本日限り△△円」と表示される場合、「〇〇円」が比較対照価格、「△△円」が販売価格となります。この手法は通常価格よりも安いとアピールし販売促進を図る目的があります。

ただし、表示内容が正確であれば問題ありませんが、不正確な比較対象価格を表示することは景品表示法に違反し違法行為となります。

比較対照価格として併記できるのは次のような価格です。

①同一の商品であること
②最近相当期間にわたって販売されていた価格であること

最近相当期間にわたって販売されていた価格とは?

一般的には、セール開始時期から遡る8週間のうち過半の期間(商品が発売されてから8週間未満の場合は商品販売からの期間)、比較対照価格で販売されていた実績が必要とされており「8週間ルール」と呼ばれています。

8週間ルール

・直前8週間に4週間以上は通常価格であることが原則として必要
・販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半以上通常価格での販売実績が必要

例えば「通常販売価格10,000円をセール価格8,000円」と表示した場合、セール開始時期から8週間遡って10,000円で販売した期間が3週間しかない場合は8週間ルールに抵触します。

また、8週間ルールに違反していない場合でも以下のような場合は「最近相当期間にわたり販売された価格」とはいえません。

・通常価格で販売されていた期間が通算で2週間未満の場合
・通常価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合

不当表示に該当する二重価格表示

次のような二重価格表示は不当表示に該当するおそれがあります。

将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示

将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は表示された将来の販売価格に十分な根拠がない場合、例えば実際には販売されない価格やごく短期間のみ販売される予定の価格などを指します。これらの不正確な表示は、不当表示に該当する可能性があります。

希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示について

希望小売価格を比較対照価格として使用するケースでは、製造業者が事前に設定し、カタログ等で公表している価格であるべきです。しかし、実際には公表されていない価格を希望小売価格として表示することは、不当表示に該当するおそれがあります。

競争事業者の販売価格を価格対照価格とする二重価格表示について

競争事業者の販売価格を価格対照価格とする場合も慎重が必要です。同一の商品について代替的に購入できる事業者の最近時の販売価格を正確に示さない場合や、市価を正確に調査せずに表示する場合は、不当表示とみなされるおそれがあります。適切な比較対照価格の選定と正確な情報の提供が求められます。

二重価格表示の違反事例

ジャパネットたかたのエアコンについての課徴金納付命令

株式会社ジャパネットたかたに対する課徴金納付命令が令和2年12月23日に消費者庁から下されました。この命令は、同社が発行した会員カタログにおいて行ったエアコンの「2万円値引き」表示が実際には通常価格での販売が乏しく、値引きの実態がないにもかかわらず、値引きがあったかのように消費者を誤認させる表示に該当したと判断された結果です。消費者庁はこの問題に対し、5180万円の課徴金の納付を命じました。

参照:公正取引委員会 (令和2年12月23日)株式会社ジャパネットたかたに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について

景表法違反におけるペナルティー

二重価格表示が違反と見なされると、消費者庁からは措置命令や課徴金納付命令が発令され、その旨が公表される可能性があります。このような違法な広告表示による処分は、企業の信頼性や評判に大きな損害を与える可能性があります。以下では、具体的な処分内容について詳しく説明します。

措置命令

二重価格表示が法に違反すると消費者庁は事業者に対し弁明の機会を与えつつ、以下の主な措置を含む命令を発令します。

・消費者に対して違反行為を周知徹底すること
・再発防止策を講じること
・将来的な同様の違反行為を回避すること

課徴金納付命令

課徴金納付命令も同時に発令される可能性があります。課徴金の額は、商品やサービスの売上額に3%を乗じて算出され、最長で3年分の売上額が課金対象となります。そのため、金額は相当に高額になり得ます。

命令に従わない場合、法的な罰則が課せられます。これには懲役刑(最大2年)や罰金(最大300万円)、法人の場合は最大3億円の罰金が含まれます。公表や報道の結果、企業の評判に大きな影響が出るため、法令遵守と正確な表示が企業にとって重要であることを認識する必要があります。

まとめ

二重価格表示は安さをアピールする手段として非常に効果的です。ただし、この手法を使用する際には一定の法的規制に気を配る必要があります。法令を遵守せずに行われた場合、意図せずに法的トラブルに巻き込まれる可能性があります。もし違反が摘発された場合、措置命令や課徴金だけでなく、企業の社会的信用にも大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

価格の割引や期間限定セールなどを広告する際には、関連する法令や規則を十分に理解し、不安がある場合は専門家に相談するなど慎重な対応が求められます。法的リスクを回避するためにも正確で適切な情報発信が重要です。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

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