今回は、お肌トラブルの中でも常に上位を占めるお悩み「毛穴」にまつわる広告表現です。
男性、女性共に毛穴トラブルに関するお悩みは多く、対策する化粧品、医薬部外品商品の需要は高まっています。ECの店舗でも販売が加速するでしょう。しかし、毛穴について謳える内容には薬機法においてボーダーラインがあることをご存じでしょうか?ここでは、薬機法の観点でOK、NG表現について解説していきます。
広告表現における化粧品と医薬部外品の違いとその影響
薬機法(旧薬事法)とは
日本の化粧品や医薬部外品に関する法律であり、消費者が不利益を被らないように薬機法のルールに基づいて広告や表示には慎重さが求められます。特に「医薬部外品」として認められた商品は、その効能や効果に関しては科学的な根拠が必要です。
化粧品と医薬部外品の違い
化粧品は主に肌の表面を美しく見せるための製品であり、その効果は一時的なものが多いです。一方、医薬部外品は肌の機能を改善することを目的とし、その効果は長期的であることが期待されます。
化粧品や医薬部外品の広告表現では、医薬品のように治療・予防効果があると認識させる表現や、効果が確実であるかのような表現をすることが禁止されます。「毛穴に効果的」であるような表現はとても魅力的に見えますが、上記の通り、化粧品や医薬部外品の範疇を越えると違反となりますので、十分に注意しましょう。
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▶薬機法に基づく化粧品の表現における定義とは
毛穴訴求について
まずは、毛穴にフォーカスした訴求について、どんな毛穴ケアやお悩みが存在し、どんな表現の落とし穴が存在するのかを見ていきましょう。
毛穴トラブルの原因
多くの人が毛穴の開きや詰まり、黒ずみなどの悩みを抱えています。これらは肌の衛生状態や皮脂の分泌など様々な要因によって引き起こされます。また、加齢により重力で皮膚が落ちることで毛穴が涙型に広がるたるみ毛穴も存在します。
その悩みケアに対するアプローチとは
毛穴ケアのアプローチには、洗顔や角質ケア、収れんケア、保湿などがあります。適切なスキンケアルーティンを確立することで、毛穴トラブルの改善が期待されます。
どんな内容で謳いたいのか?表現の落とし穴
毛穴ケア商品の広告や表示では、肌のトラブルを解決する効果や改善の可能性を強調することが一般的です。「毛穴の汚れや黒ずみを解消」「毛穴の引き締め」「毛穴レス」「開いた毛穴の解消」「毛穴を目立たなくする」など、さまざまな文言が思いつきますが、これらの表現は薬機法の規制に触れるので注意が必要です。
Q&A この表現言える?言えない?
ここからは、具体的に謳える表現や言い換え表現について解説していきます。
Q.「毛穴の汚れや黒ずみを解消」はOK?それともNG
A.「毛穴の汚れ・黒ずみ解消」は、クレンジングや洗顔料などのスキンケア商品を広告する場合で、「毛穴の汚れや黒ずみを物理的に洗浄する」というような意味合いであればOKです。ただし、肌を洗浄することで「毛穴が完全に無くなる」「毛穴レス」など、化粧品の効果が確実であるかのような表現は禁止されているので注意が必要です。
OK例
「洗顔で毛穴の汚れをすっきり洗浄」
「クレンジングで汚れを落とし毛穴をクリアに」
「スキンケアで肌の衛生状態を改善」
NG例
「洗顔で毛穴を完全リセット」
「洗顔で毛穴レス」
Q.「毛穴を引き締める」や「毛穴の開きを目立たせない」はOK?それともNG
A.毛穴の「引き締め」は違反となります。例えば、「毛穴を小さくする」といった身体の構造や肌機能などを変化させる治療的効果を標ぼうするものであり、化粧品の効果を逸脱した表現であると判断される可能性があります。
毛穴のみの引き締めは効能の範囲外ですが、「肌を引き締める」は化粧品の効能として言えますので、「肌を引き締めることにより毛穴が気にならない」といった意味合いは謳うことができます。また、「肌の汚れを洗浄する」も化粧品の効果として認められていますので、汚れを洗浄することで毛穴が気にならないような表現もOKです。
▶薬機法に基づく化粧品の表現における定義とは~化粧品で標ぼう可能な効能効果の範囲~
OK例
「化粧水でお肌を引き締めて毛穴を目立ちにくくします」
「肌のキメを整えることで、毛穴の開きが気にならない」
「(クレンジングで)肌の汚れを洗浄することで、毛穴を目立たなくする」
NG例
「化粧水で毛穴をキュッと引き締める」
「毛穴を目立たなくする」のみ
「開いた毛穴の解消」
「毛穴レス」
その他のNG例
以下のような表現も見たことがありますが、全て効果効能について触れているためNGとなります。
「毛穴を完全に消す」
「即効性のある毛穴ケア」
「医薬部外品ならではの効果」
「専門家推奨の効果」
「即効性のあるピュアな肌に」
「一晩で劇的な変化を」
「皮膚科医が認めた毛穴ケア」
「毛穴トラブルを根本から解決」
「即効性で毛穴トラブルから解放」
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は毛穴のトラブルにフォーカスした表現について薬機法の観点で解説しました。薬機法を遵守しつつ、毛穴ケア商品の広告や表示には慎重さが求められます。適切な表現を選び、消費者に正確な情報を提供することを心がけましょう。
・「毛穴に効果的」であるような表現は化粧品と医薬部外品の範疇を越えているため、一切謳えない。
・洗顔料やクレンジングなどのスキンケア商品の場合、「毛穴の汚れや黒ずみを物理的に洗浄する」というような意味合いであれば訴求できる。
・毛穴のみの引き締めは効能の範囲外ですが、「肌を引き締める」「肌の汚れを洗浄する」は化粧品の効能として言えますので、「肌を引き締めること」や「肌の汚れを洗浄すること」により「毛穴が気にならない」は謳える。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。
皆で正しい広告表現を目指していきましょう!
マクロジでは、以下団体認証を取得し制作物の全てを広告審査しております。サービスについてお気軽にお問合せください。
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