消費者が商品やサービスを購入する際に重視する要素の一つが『安心・安全』です。誰もが良い商品やサービスを求めており、安心感や安全性が確保されていると感じるとそれに惹かれて信頼して購入します。しかし、実際よりも良く見せかける表示が行われると消費者が実際には質の良くない商品・サービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。
今回の記事では、景品表示法における表記ルールと、安心・安全を訴求する方法について詳しく解説します。
景品表示法とは
正式名称を不当景品類及び不当表示防止法といいます。略して「景表法」とも言われます。この規制によって、消費者が商品やサービスを適切に選択できるようになります。
景品表示法は大きく分けて下記2種類の規制があります。
①過剰な景品の提供を禁止
②消費者に誤解を招くような表示を禁止
例えば「安心・安全」などの言葉を過剰に使ったり、根拠のない訴求をすることは消費者に誤解を与える可能性があるため、景品表示法によって禁止されています。
景品表示法は消費者を守るために定められた法律であり、商品やサービスの広告や表示において消費者が誤解されないように具体的で客観的な情報を提供することが求められます。
景表法における表記ルール
景表法では消費者を誤解させないよう注意が必要で、例えば安全性を訴求する場合は製品の安全基準や品質管理のプロセスを明確にし、公的機関や専門家の評価や認定を取得することで、消費者に対する信頼性を高めることができます。安心・安全を訴求する際には、適切な表現を選び、虚偽や誇大な広告を避けることが重要です。
「合理的な根拠」の判断基準
提出資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
提出資料が客観的に実証された内容のものであること
提出資料は、表示された具体的な効果や性能が事実であることを証明するものでなければなりません。そのためには、以下のいずれかの方法によって客観的に実証されたものでなければなりません。
①試験・調査による結果
・適切な方法での実施
表示された商品やサービスの効果や性能に関連する試験や調査は、学術界や産業界で一般的に認められた方法、または関連分野の専門家多数が認める方法に基づいて実施する必要があります。
・社会通念上妥当な方法の採用
一般的に認められた方法が存在しない場合は、社会通念上妥当と認められる方法で試験や調査を実施する必要があります。この場合、公平性や客観性を確保するために、注意深く方法を選定することが重要です。
・消費者の体験談やモニターの意見の取り扱い
消費者の体験談やモニターの意見を利用する場合は、無作為抽出法で相当数のサンプルを選定し、作為が生じないように考慮して行う必要があります。
②専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献
・客観的な評価
専門家が客観的に評価した見解や、学術文献が信頼性の高いものであることが必要です。これによって、表示された情報の裏付けとして適切な根拠を提供できます。
・専門分野での一般的な認識
提出された専門家の見解や学術文献が、該当する専門分野において一般的に認められていることが重要です。一般的に認められていない見解は、表示の裏付けとしては有効ではありません。生薬の効果など経験則を表示の裏付けとする場合も、専門家の見解や学術文献によってその存在が確認されている必要があります。
これらが客観的かつ一般的に認められているかの判断は難しいため、専門家などのプロの見解も交えて訴求することをお勧めします。
表示された効果や性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること
提出資料がそれ自体として客観的に実証された内容のものであることに加え、表示された効果、性能が提出資料によって実証された内容と適切に対応していなければなりません。
禁止される表記のボーダーライン
「安全基準を満たしました」「厳格な品質管理のもと製造」などの表現は、公的な機関や専門家の評価や認定を受けていれば、その情報を適切に表記できます。また「木製は陶器素材に比べて割れにくいため安心」と言った表現も事実であるため問題ありません。
しかし「安心の国内生産」「オーガニックだから安心」「赤ちゃんにも安心して使えます」といった表現はNGです。国内生産やオーガニックということだけでは安心感を提供する根拠にはなりません。「信頼」や「納得」「~の方にも使用できます」といった表現に言い換えが必要です。
まとめ
広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。
・景品表示法は「過剰な景品の提供」「消費者に誤解を招くような表示」を禁止している。
・安心・安全を訴求する際には合理的な根拠や事実に基づいた表記が必要。
・「安心の国内生産」「オーガニックだから安心」「赤ちゃんにも安心して使えます」といった表現はNG。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。
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