化粧品で「ピーリング」「ターンオーバー」は表現できる?言い換え含め薬機法・景表法に基づき徹底解説

テーマ 「ピーリング」「ターンオーバー」表現は言える?言い換えの表現は??

美容皮膚科やエステサロンだけでなく、日々のスキンケアでも手軽に取り入れられている「ピーリング」。ピーリング(peeling)とは、「皮をむく、剥ぐ」という意味を持つ言葉で、玉ねぎの外皮をむくとつるんとしたキレイな面が出てくるように、肌表面の不要な角質を剥ぐことです。魅力的な内容ですが「ピーリング」効果の表現は厳格なルールに基づいています。これに違反すると薬機法に抵触する可能性があるため細心の注意を払う必要があります。

この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

「ピーリング」「ターンオーバー」表現

先輩社員Aさん:今日は広告運用について、特に『ピーリング』に関するルールについて話しましょう。ピーリング(peeling)とは肌表面の不要な角質を取り除いて肌を滑らかにする効果があります。

新人社員Bさん:なるほど!広告で『ピーリング』効果は表現できるんですか?

先輩社員Aさん:そうですね、『ピーリング』効果の表現には厳格なルールがあり、それに違反すると薬機法に抵触する可能性があります。今回はその具体的なルールについて詳しく解説しますね。

ピーリングの定義と化粧品での広告表現

先輩社員Aさん:まず、ピーリングとは古くなった角質を取り除くことを指します。化粧品の広告表現においては『(汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする』という効果効能の範囲内で表現できます。ただし、洗浄や拭き取りによる物理的効果であることを明確に示す必要があります。

参考:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号)各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より

ピーリングの効果はシミ、ニキビなどの改善?

新人社員Bさん:物理的効果であれば『ピーリング』という言葉を使ってもいいんですね。肌表面の角質を取り除くということはシミやニキビも改善されると言えるのでしょうか?

先輩社員Aさん:シミや肌荒れに関しては医薬品の効果効能に該当するため化粧品の広告では使用できません。洗顔やふき取りをしてもシミや肌荒れが改善するのは難しいですよね。

新人社員Bさん:なるほど。でも、どうやってそれを具体的に表現すればいいのでしょうか?

化粧品での違反事例

先輩社員Aさん:ピーリングにはいくつかの種類があります。大きな違いとして「医療機関で行うピーリング」「エステサロンで行うピーリング」「市販品を使い、スキンケアとして自宅で行うピーリング」があります。例えば、ケミカルピーリングやレーザーピーリングは医療機関で行うピーリングなので、化粧品の広告では表現できません。

新人社員Bさん:医療行為になると表現ができないんですね。他にはどんな表現が禁止されていますか?

ターンオーバーは表現できない

先輩社員Aさん:そうですね、ターンオーバー促進や整えるといった表現も禁止されています。ターンオーバーとは肌の新陳代謝のことですが、それに作用するということは薬理的な作用とみなされるため、化粧品の広告では表現できません。他にもピーリングによる効果として以下のような表現は禁止されています。

・シミを取り除く
・ニキビを治す
・小じわをなくす

新人社員Bさん:なるほど、薬理的な作用とみなされるとダメなんですね。

ターンオーバーとは
肌の中で新しい細胞がうまれて古い細胞が死んで剥がれ落ちていく生理機能のことです。肌の新陳代謝とも言います。年齢や部位によって異なりますが約28日周期で肌細胞が完全に入れ替わります。私たちの皮膚は表皮の一番深い層である基底層で日々新しい細胞がつくられていて、徐々に表面に押し上げられてやがて角層となり最後は垢となって剥離・脱落するというサイクルを繰り返しています。

化粧品での言い換えテクニック

先輩社員Aさん:それでは、化粧品広告で許可される表現について説明しますね。例えば、以下のような表現が適切です。これらの表現を使うことで、薬機法に準拠しながらピーリングの効果を適切に伝えられます。

・古い角質を優しく取り除き、肌を清浄に保ちます
・ピーリングにて古くなった角層を優しく取り除きます
・拭き取りタイプで古い角質をしっかりオフし、化粧のりを良くします

新人社員Bさん:具体的な表現がわかると安心しますね。

美容機器(雑貨)での広告表現

先輩社員Aさん:美容機器(雑貨)についても、化粧品と同様に『(汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする』という効果効能の範囲内で表現できます。

新人社員Bさん:化粧品との違いは何ですか?

先輩社員Aさん:化粧品は主に化学的な成分を使うのに対し、美容機器は物理的なアプローチが多いんです。そのため、表現の仕方が少し異なりますが、基本的にはガイドラインに従って適切な表現を選ぶことが大切です。

新人社員Bさん:わかりました。具体的に注意する表現はありますか?

美容機器(雑貨)での違反事例

先輩社員Aさん:化粧品と似ていますが、以下のような表現はNGです。

・ピーリングで肌が若返る
・ターンオーバーを促進してシワを消す
・ターンオーバーを正常化してニキビを治す
・ピーリングでシミを消す
・毛穴を目立たなくする

新人社員Bさん:化粧品とほとんど同じですね。毛穴を目立たなくするという表現はできないんですか?

美容機器(雑貨)での言い換えテクニック

先輩社員Aさん:「毛穴を目立たなくする」という表現は一見問題なさそうに思えますが実はNGなんです。「肌を引き締める」や「肌のキメを整える」は、化粧品の効果として認められているので、これらの効果によって毛穴が目立たなくなるという表現であれば謳えます。

・肌を引き締めることで、毛穴を目立たなくする
・肌のキメを整えることで、毛穴を目立たなくする

新人社員Bさん:なるほど!単に「毛穴を目立たなくする」だけではNGで、「肌を引き締める」や「肌のキメを整える」ことに絡めると問題ないんですね。奥が深いです。

先輩社員Aさん:その通りです!他にも以下の要は表現を活用していきましょう。

・ピーリングで肌のざらつきを整えます
・ピーリングで明るい印象へ
・ピーリングで滑らかな肌を目指します
・ピーリングで肌を柔らかく保ちます

Q&Aこの表現言える?言えない?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。

Q.ピーリングによる「美白効果」を広告で謳うことはできますか?

A.美白効果は医薬品の効果効能に該当し化粧品の広告では使用できません。代わりに「汚れを落とすことで肌を明るく見せる」「古い角質をしっかりオフし、透明感を与える」といった表現であれば可能です。

Q.ピーリングにより「しみを剥がす」という表現はできないとありますが、言い換えはありますか?

A.しみを物理的に取り除くことを示唆する表現は医薬品の効果効能に該当するため化粧品の広告では使用できません。「明るい印象へ」や「古い角質をしっかりオフし、くすみを改善する」といった表現を使用してください。

Q.ピーリング製品の広告で「肌荒れを治す」という表現の言い換えはありますか?

A.「肌荒れを治す」という表現は使用できません。肌荒れの治療を示唆する表現は医薬品的な効果効能とみなされるため化粧品の広告では薬機法に違反します。「肌を健やかに保つ」や「肌の調子を整える」といった表現が適切です。

Q.足裏やかかとのピーリング商品を販売予定です。注意するポイントはありますか?

A.角質除去商品に関しては、まず化粧品で売るか雑貨で売るかの判断をする必要があります。特定の成分の作用としてピーリングを表現する場合は化粧品に該当するので雑貨では出来ません。雑貨で角質除去を謳えるのはヤスリのようなもので擦り取る等の物理的作用である必要があります。

まとめ


・化粧品の広告表現で「ピーリング」は(汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にするなど物理的な表現であれば可能。

・ピーリングによりターンオーバーを整えるという表現はできない。

・ケミカルピーリング、レーザーピーリングなど医療行為のピーリングは言えない。

・美容機器に関しても同様で物理的な表現であれば可能。

 

先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。

新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。

先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!

新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。

先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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