テーマ「リフトアップ」の広告表現は?化粧品・美容機器(雑貨)での違反事例や言い換え表現を解説
化粧品や美顔器における「リフトアップ」「引き締め」表現については、消費者の誤解を招かないようにするために薬機法や景表法といった法律によってその使用が厳しく規制されています。例えば、化粧品での「リフトアップ」表示は、医学的な効果を示唆するものではなく一時的な見た目の変化を指すものでなければなりません。
この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!
化粧品・美顔器(雑貨)での「リフトアップ」表現
先輩社員Aさん: こんにちは!今日は化粧品や美顔器の広告表現について学んでいきましょう。
新人社員Bさん: はい、よろしくお願いします!
先輩社員Aさん: まず、「リフトアップ」という言葉は、基本的に化粧品や美顔器の広告表現として使用できないことを知っていますか?
新人社員Bさん: ええっ、そうなんですか?「リフトアップ」ってよく聞くので、使えると思っていました。
先輩社員Aさん: 実はそうではありません。「リフトアップ」という表現は、顔の形状変化を示唆するもので、薬機法に抵触する可能性が高いんです。
化粧品での違反事例
新人社員Bさん: なるほど。他にも「リフトアップ」関連で注意すべき表現はありますか?
先輩社員Aさん: 他には以下のような表現も注意が必要です。よく見る「たるみ」「シャープ」という言葉は「リフトアップ」の言葉は使っていませんが、この文脈だと顔の形状変化を示唆しているとみなされるので注意表現となります。
・顔のたるみがなくなります
・フェイスラインがシャープになります
・使用後、顔がリフトアップして若返ります
・しわが改善され、リフトアップします
新人社員Bさん: たるみも表現できないんですね。リフトアップを謳いたいとき、どんな表現なら使えますか?
化粧品での言い換えテクニック
先輩社員Aさん: 一般化粧品に認められている効能効果は限定された56項目の範囲内に制限されており、「引き締め感」や「ハリのある肌へ」というような表現であれば許容されます。具体的には以下のような表現です。
・肌を引き締め、ハリのある印象へ
・引き締まった印象へ
・ハリを感じる肌へ導きます
・スッキリとした印象の肌へ
・引き締まった印象で、若々しい肌へ
新人社員Bさん: なるほど。印象程度に留めて具体的な変化を示唆しないようにするんですね。
先輩社員Aさん: ニュアンスは近いですが「引き締まった輪郭」などは印象を逸脱して具体的な部位の引き締めを謳っているため注意が必要です。文言と画像も総合的にみて、具体的な変化を示唆しているのか、印象程度に留めているのか判断されます。迷った場合は専門家の見解も交えて対応しましょう。
参考:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号)各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より
美容機器(雑貨)での違反事例
先輩社員Aさん: 美顔器は医療機器ではなく「雑貨(雑品)」に当たります。一般的に「美顔器=リフトアップ」というイメージが強いですが、薬機法上はその表現を使用できないので注意が必要です。
新人社員Bさん: なるほど。化粧品と同様に、リフトアップの表現はできないんですね。でも雑貨も薬機法の対象になるんですか?
先輩社員Aさん: 実際、薬機法上では雑貨に対する表現の規制はありません。しかし、医療効果を示唆する表現や人体への効果効能を謳う表現を使用した場合は、薬機法に抵触することになります。例えば、以下のような表現は認められていません。
・ほうれい線が消えます
・顔全体がリフトアップして小顔効果が得られます
・しわやたるみを改善し、リフトアップ効果を実現
・皮膚の深部まで浸透します
・医療機器と同様の機能があるので安全です
・顔やせ効果があります
新人社員Bさん: なるほど。どんな表現であれば美容機器でも謳えますか?
美容機器(雑貨)での言い換えテクニック
先輩社員Aさん: 美顔器の場合、「表情筋のトレーニングに」や「スッキリとした印象へ」といった「美容目的」を標榜する表現であれば使用できます。美容目的とは、化粧品の効果として認められる56個の表現の範囲内に留めることを意味します。以下に、美顔器の効果として使用できる表現を示します。ただし、事実に基づかない内容や根拠のない効果を謳うことは禁止されています。
・物理的に肌を引き上げリフトアップ ※一時的な引き上げ
・肌を引き締め、ハリのある印象へ
・肌のハリ感をサポート
・表情筋のトレーニングに
・スッキリとした印象へ
・日常のスキンケアに最適
・毎日のケアで健やかな肌へ
新人社員Bさん: 物理的にリフトアップする場合は表現できることもあるんですね。
Q&A この表現言える?言えない?
ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。
Q. 化粧品で「顔全体がリフトアップされる」という表現は可能でしょうか?
A. 「リフトアップ」は顔の形状変化を示唆するため化粧品の広告表現としては使用できません。「顔全体にハリを与える」「引き締まった印象へ」という表現であれば可能です。
Q. 美顔器で「たるみ改善効果がある」と表現できますか?
A. 具体的な治療効果を示唆するため使用できません。「肌を引き締め、ハリのある印象へ」「スッキリとした印象へ」といった表現が適切です。
Q. 美顔器で物理的に肌を引き上げる機能がある場合、「リフトアップ」という表現は使用できますか?
A. 物理的な機能によって肌を一時的に引き上げる場合、その物理的効果を説明する文脈で「リフトアップ」を使用することが可能です。ただし「物理的な効果」と明確に表現する必要があります。例えば「物理的に肌を持ち上げ、一時的にリフトアップ感を演出します」といった表現であれば問題ありません。
まとめ
・化粧品や美容機器(雑貨)でリフトアップは表現できない。
・物理的効果であれば説明できる場合がある。
・化粧品や美容機器(雑貨)の訴求では化粧品の効果として認められる56個の表現の範囲内に留める。
先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。
新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。
先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!
新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。
先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!
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最後までお読みいただきありがとうございます。
広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。
皆で正しい広告表現を目指していきましょう!
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