【2024年10月施行】景品表示法改正のポイント徹底解説!インフルエンサーや広告運用者も必見

テーマ「景品表示法改正」のポイントや実務への影響をわかりやすく解説!

2024年10月に施行された改正景品表示法では、広告表示における規制が大幅に強化されました。その背景には、虚偽や誤解を招く広告表示が後を絶たず、消費者被害を未然に防ぐ必要性がありました。今回の改正では、行政処分を経ずに罰金を科す「直罰規定」の導入や、再犯時の課徴金を通常の1.5倍に引き上げる措置が盛り込まれています。また、第三者にも責任が拡大され、広告主と共同で違法行為を行った場合、処罰の対象となります。一方で、事業者が自主的に広告を修正すれば罰則を回避できる「確約手続」の導入など、改善を促進する仕組みも新設されました。

この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

 

景表法とは

新人社員B:そもそも、景表法ってどんな法律なんですか?

先輩社員A:景表法とは「景品表示法」の略で、正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といい、消費者の誤認を招き、正当な商品選択を妨げる項目を禁止しています。簡単に言うと、商品やサービスの広告や表示が誤解を与えたり嘘を含んでいないかを規制するものなんです。企業が『正しい情報を伝える』ことを義務付ける法律ですね。

新人社員B:なるほど。消費者が安心して商品を選べるようにするためなんですね。

先輩社員A:そうです!具体的には、不当な『景品類』を提供する行為や商品の内容を誤認させる『不当表示』を禁止しています。

今更聞けない!景品表示法・薬機法の基本とよくある間違い表現とは?

令和5年度の景品表示法改正

新人社員B:2024年10月に改正されたんですよね?具体的に何が変わったんですか?

先輩社員A:大きく4つのポイントがあります。まず『直罰規定』の導入です。次に『インフルエンサーなどの第三者も罰則対象』になりました。そして、再犯への課徴金が通常より1.5倍に引き上げられる『処分の強化』があります。最後が新たに設けられた『確約手続』という仕組みです。

新人社員B:4つもあるんですね…。それぞれ詳しく教えてください!

改正景品表示法の直罰規定とは

新人社員B: 直罰規定とは具体的にどういったことですか?

先輩社員A: 直罰規定は、これまでの仕組みと大きく変わるポイントの一つです。これまでは、虚偽表示や誤認を招く広告があった場合、行政がまず警告や指導を行いその後に罰則を適用する流れでした。しかし、改正後はそうしたプロセスを経ずに直接100万円以下の罰金が科されることが可能になったんです。

新人社員B: なるほど。これまでは段階を踏んでいたけど、いきなり罰金が科される場合もあるんですね。

先輩社員A: そうですね。この改正の背景には、故意に優良誤認表示や有利誤認表示を行うような悪質な事業者の存在があります。たとえば、商品の表示内容について根拠がないと分かっていながら誤解を招く表現を続けたり、実際の効果と大きく異なる表示をするようなケースですね。

新人社員B: そういう悪質な事業者に対して罰則を強化したわけですね。消費者を守るためには必要ですね!

先輩社員A: ただし、私たちのような広告運用者もこれまで以上に広告表現を慎重に確認する必要があります。少しでも誤解を招く可能性がある表現を使うと、事業者だけでなく広告代理店やインフルエンサーも責任を問われる可能性がありますからね。

広告代理店やインフルエンサーも対象に

新人社員B:今までは事業者のみが処罰の対象でしたが、第三者も罰則対象になるんですか?

先輩社員A:悪質な広告表示を広める広告代理店やインフルエンサーも、広告主と「共同して犯罪を行っている」と判断される場合には処罰対象となります。たとえば、企業から依頼を受けたインフルエンサーが明らかに誇張された内容をSNSで拡散した場合などです。なので、業務委託先、運営代行など関係なく悪質な広告表記に関わった時点で関係者全員が責任を問われます。

新人社員B:SNSで商品を紹介する時も責任が伴うんですね。

先輩社員A:はい。インフルエンサーを起用する際は、どんな表現が許されるかをしっかり説明するのが大切です!

課徴金制度の見直し

新人社員B: 違反を繰り返した場合の処分が厳しくなるって聞いたんですけど、具体的にどんな内容ですか?

先輩社員A: 過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が再び違反した場合、課徴金額が通常の1.5倍、つまり売上高の4.5%に引き上げられることになりました。これにより、再犯を防ぐための強い抑止力を目指しています。

新人社員B: 売上高の4.5%ですか…。売上が大きい企業にとってはかなりの負担になりますね。

先輩社員A: そうなんです。今回の改正の背景には、一度行政処分を受けた事業者の中でも、繰り返し違反行為を行うケースがあり、このような事業者に対してより厳しい対応を取る必要があると判断されたんです。

新人社員B: なるほど。再犯する事業者がいるんですね。

先輩社員A: はい。平成26年に成立した景品表示法改正の附則でも、施行から5年が経過した場合に課徴金制度の見直しを行うことが盛り込まれていました。その流れの中で、今回の加算措置が新たに設けられたんです。

新人社員B: 違反を未然に防ぐために、事業者側の努力がますます重要になりますね。

確約手続の導入

新人社員B: 直罰規定や課徴金の加算などの話を聞いていると、万が一間違いがあったらどうしようと不安になります…。

先輩社員A: 今回の改正でたしかに責任が大きくなっていますが、違反が疑われた場合に企業が自主的に対応できる仕組みとして「確約手続」という制度があります。

新人社員B:「 確約手続」ですか?それってどういうものなんですか?

先輩社員A: 確約手続は、違反が疑われた場合に企業が広告内容を自主的に修正したり、再発防止策をしっかり実施することで、罰則を回避できる仕組みです。消費者庁長官から認定を受ける必要はありますが、この制度を活用することで、迅速に問題を解決し、消費者の信頼を取り戻すことができます。

新人社員B: 自主的に対応できる仕組みがあるのは、少し安心ですね。でも、その前に違反しないようにすることが一番大事ですね。

先輩社員A: その通りです!普段から広告表現を慎重に確認して、誤解を招くような表現を避けることが大事です。ただ、もしもの場合には迅速に対応できる仕組みがあると知っておくと、万が一のときにも冷静に行動できますよ。

新人社員B: そうですね。まずはしっかり予防する努力を続けつつ、対応策も頭に入れておきます!

出典:【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要 消費者庁ホームページより

よくご質問いただくQ&A

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。

Q. インフルエンサーが広告した場合も責任が問われますか?

A. はい。改正後はインフルエンサーや広告代理店も悪質な広告表示に関与していると判断される場合、広告主と同様に処罰の対象となります。広告内容のチェックがこれまで以上に重要です。

Q. 再犯の場合の課徴金が引き上げられるとのことですが、具体的にどのように変わりましたか?

A. 改正後、過去10年以内に課徴金を命じられた事業者が再び違反した場合、課徴金の金額が通常の1.5倍(売上高の4.5%)に引き上げられる規定が追加されました。

Q. 確約手続とは何ですか?

A. 違反が疑われた場合でも、広告内容の修正や再発防止策を迅速に実施することで、課徴金や罰則を回避できる仕組みです。消費者庁長官の認定が必要ですが、企業が自主的に問題を解決する機会を与える制度です。

まとめ

・景表法改正により、直接100万円以下の罰金が科されることが可能に。

・広告代理店やインフルエンサーなどの第三者も罰則の対象。

・課徴金額が通常の1.5倍、つまり売上高の4.5%に引き上げされた。

・違反が疑われた場合に企業が自主的に修正し、消費者庁長官から認定を受けることで罰則を回避できる。

先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝えましょう。

新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。

先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。法律を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!

新人社員Bさん:ありがとうございました!改正景表法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。

先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!

・・・

最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

マクロジでは、制作物の全てを広告審査しております。サービスについては以下からお問合せください。

関連リンク

今更聞けない!景品表示法・薬機法の基本とよくある間違い表現とは?

セール期間における二重価格表示とは?景品表示法の基本と8週間ルールの違反事例をわかりやすく解説

「日本初」「No.1」「どこよりも安い」広告における最上級表現の落とし穴!景表法に基づき解説

株式会社マクロジと広告表現チェックツール『コノハ』を運営する(株)アートワークスコンサルティング、広告チェック領域で業務提携