化粧品・医薬部外品・雑貨での「入浴剤」「入浴料」表現!言い換え含め薬機法・景表法に基づき徹底解説

テーマ「入浴剤」「入浴料」の広告表現は?化粧品と医薬部外品、雑貨の違いや言い換えの表現を解説

寒くなってくるとのんびりと湯船につかる機会も増えますよね。そんな時に使用したいのが入浴剤。しかし、入浴剤の広告表現は法令に基づいて制約されており、過剰な広告表現は薬機法に違反するものと判断される可能性があります。

この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

「入浴剤」「入浴料」の表現

先輩社員Aさん:今日は入浴剤と入浴料の表現について、薬機法の観点から注意点を説明しますね。

新人社員Bさん:入浴剤も注意が必要なんですね。ところで入浴剤と入浴料って違いがあるんですか?

先輩社員Aさん:そうなんです。入浴剤は医薬部外品に分類され、入浴料は化粧品、雑貨は名前の規定はありません。この三つのカテゴリに分かれていて、分類によって訴求できる表現が異なります。

新人社員Bさん:それぞれどう違うんですか?

医薬部外品の表現

先輩社員Aさん:医薬部外品は、厚生労働省が許可した成分が一定の濃度で含まれていて、治療というよりは「防止・衛生」を目的にしています。

新人社員Bさん:具体的にはどんな表現ができるんですか?

先輩社員Aさん:例えば「あせも」「肩こり」「冷え症」などの効果を謳えます。

医薬部外品での違反事例

新人社員Bさん:なるほど。この表現は使えないというのもありますか?

先輩社員Aさん:ありますね。例えば、治療効果や科学的証拠のない効果、医薬品的効能の記載などは使えないです。具体的には以下のような内容です。

治療効果

例:この入浴剤は関節炎を治します。

疾病予防効果

例:この入浴剤を使えば、風邪をひきません。

医師の推薦

例:〇〇医が認めた成分です。

科学的証拠のない効果

例:この入浴剤は体内の毒素を全て排出します。

医薬品的効能の記載

例:この入浴剤は皮膚炎を治します。

安全性の保証

例:この入浴剤は完全に安全です。

不適切な比較

例:他のどの製品よりもこの入浴剤は優れています。

使用前と使用後の肌の違い

例:この入浴剤を使う前は肌が乾燥していましたが、使った後はしっとりと潤いました。

医薬部外品での言い換えテクニック

新人社員Bさん:医薬品的な効果や安全性の保証をするとダメなんですね。逆に認められている表現もあるんですか?

先輩社員Aさん:医薬部外品として認められている入浴剤の効果効能は「浴用剤製造販売承認基準について」(厚生労働省医薬食品局長・薬食発0325第39号)にて、以下のように定められています。これらの表現の中で認められている効果効能であれば謳えますよ!

(6)効能又は効果
あせも、荒れ性、打ち身(うちみ)、くじき、肩の凝り(肩のこり)、神経痛、湿しん(しっしん)、しもやけ、痔、冷え症、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後
の冷え症、にきびとする。
引用:「浴用剤製造販売承認基準について」(厚生労働省医薬食品局長・薬食発0325第39号)浴用剤製造販売承認基準 2.基準(6)効能又は効果 より

新人社員Bさん:なるほど。でもこれらの表現を使ってどのように魅力を消費者の方にアピールできるんでしょうか・・・?

先輩社員Aさん:いい質問ですね!例えば、入浴剤で有効成分が含まれているのが医薬部外品だけなので「湯船につかることで温浴効果を高め、血行を促進。有効成分(乾燥硫酸ナトリウム)が毎日の疲れや冷えをやわらげます。」などとアピールするのをおすすめします。

ちなみに、血行を促進というワードは温浴効果によるものと記載しているのでOKです!入力剤の効果としては認められていないので必ず温浴効果によるものだと記載しましょう。

化粧品の表現


先輩社員Aさん: 化粧品の場合は、化粧品の56の効果効能範囲表内の表現であれば、薬機法上問題ありません。例えば「皮膚にうるおいを与える」「皮膚を保護する」などですね。
参照:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号) 各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より

化粧品での違反事例

新人社員Bさん:なるほど。化粧品での表現できない内容は医薬部外品と同様ですか?

先輩社員Aさん:先ほど述べた治療効果や疾病予防効果の表現、安全性の絶対的保証などは、どちらのカテゴリーでもNGです。違う点は、医薬部外品は認められていれば「疲労回復」「冷え症」など一定の効果効能を謳えますが、化粧品は一切表現できません。なので「毎日の疲れや冷えをやわらげます。」といった表現はできません。

化粧品での言い換えテクニック

先輩社員Aさん:アピールする方法としては化粧品の56の効果効能範囲表内の表現をすることです。例えば「シアバター配合。うるおいあふれるキメの整ったしっとり肌へ」などであればOKです。

新人社員Bさん:なるほど。56個の範囲内でうまく謳うことが大事なんですね。

雑貨の表現

先輩社員Aさん:雑貨に分類される場合、現在のところ明確な法律は存在しませんが、薬機法に触れる「人体への効果効能」を謳う表現は避ける必要があります。

新人社員Bさん:具体的にはどんな表現がNGなんですか?

雑貨(雑品)での違反事例

先輩社員Aさん:雑貨も化粧品と同様で、治療効果や疾病予防効果の表現などはNGです。医薬部外品のOK表現である「疲労回復」や「肩のこりをほぐす」なども雑貨では一切表現できません。さらに「人体への効果効能」を謳う表現は避ける必要があるので「この入浴剤で肌がしっとりと潤います。」「うるおいあふれるキメの整ったしっとり肌へ」といった表現もNGです。

新人社員Bさん:なるほど、雑貨も薬機法の対象になるんですか?

先輩社員Aさん:人体への効果効能を謳う表現が含まれる場合、薬機法に触れることになるんです。

新人社員Bさん:雑貨の入浴剤で謳えることはあるんでしょうか?

雑貨(雑品)での言い換えテクニック

先輩社員Aさん:人体に影響を及ぼすことを表現せずに、入浴剤の香りや色を楽しむという表現は基本的には問題ありません。例えば「バスタイムを楽しむ」「気分をリフレッシュ」「香りを楽しむ」といった表現です。また、雑貨は効果や安全性についての「保証表現」を規制するルールが現時点でありません。

新人社員Bさん:具体的にはどんな表現が可能なんですか?

先輩社員Aさん:例えば、使用前後の状態を表現することや、医師の推薦などは、化粧品では認められていませんが、雑貨では現状問題ありません。ただし、今後法律の改定により変わる可能性はあるので、常に情報を更新することが大切です。

新人社員Bさん:なるほど。法律の動向に常に注意して、正しい表現を使うことが重要ですね。

Q&A この表現言える?言えない?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。

Q.「しっとり滑らかな湯上がり感」は表現可能でしょうか?

A.しっとり滑らかという表現は化粧品の56の効能効果内ですので、医薬部外品や化粧品では表現可能です。雑貨では化粧品分類で認められる表現、それを超える表現を訴求することはできません。

Q.「湯船につかることで温浴効果を高めて、めぐりを良くします」という表現は可能でしょうか?

A.医薬部外品、化粧品、雑貨のすべてで表現ができます。ただし、入浴剤の効果ではなく温浴効果によることを記載する必要があります。

Q.「この香りは鎮静効果があります」という鎮静効果は表現できますか?

A.こちらは人体に影響を及ぼす表現のため、入浴剤では表現できません。

まとめ

・入浴剤は「医薬部外品」「化粧品」「雑貨」と分類が分かれ、それぞれ表現できる範囲が異なる

・医薬部外品の場合は承認された範囲内で表現する

・化粧品は56の効果効能範囲表の表現を参考に表現する

・雑貨は人体に影響することは表現できないため、色や香りにフォーカスして表現する

先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。

新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。

先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!

新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。

先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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