日焼け止め・飲む日焼け止めの表現における注意点とは?薬機法に基づく化粧品と健康食品の法令解説

こんにちは、マクロジの中島です。

暖かくなってくると気になるのが日焼け対策やUVケア。市場には日焼け止めや化粧下地など多くの商品が販売されています。最近では「飲む日焼け止め」などの日焼け対策サプリメントも注目されています。

化粧品や健康食品において、日焼けに関する広告表現は法令に基づいて制約されており、過剰な広告表現は薬機法に違反するものと判断される可能性があります。本記事では日焼けに関する広告表現の注意点を紹介しています。

化粧品の日焼け止めで表現できるボーダーライン

化粧品は認められた表現が56個あり、日焼けに関する効能効果は次の2つに限られています。

・日焼けを防ぐ
・日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ

これらの効能効果は、あくまで事実であることが前提です。言い換えれば、紫外線を物理的に遮断する効果がある製品や、UV防止を目的とした成分が含まれている商品でなければ、これらの効果をアピールすることはできません。

例えば、紫外線吸収剤や物理的な紫外線散乱剤が配合されていればその根拠を添えた上で効果をアピールできるでしょう。

参照:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号) 各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より

日焼け対策商品で気を付けるべき「しばり表現」

「しばり表現」とは、商品の効果効能を表示する際に必ず追記しなければならないと法令で義務付けられた文言のことです。日焼け止めに関しては、日焼けを防ぐことや、日焼けによって引き起こされるシミやソバカスを防ぐことが挙げられます。

「日焼け」が広告表現で重要なポイントとなる理由は、シミやソバカスが日焼け以外の肌の炎症からも発生する可能性があるためです。「化粧品で防ぐことができるのは日焼けによるものだけ」という事実を明確に伝えるために「しばり表現」が設けられています。

そのため「日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ」という効能効果を「しみ、そばかすを防ぐ」と簡略化することは認められていません。日焼け対策化粧品には「日焼けによる」というワードを必ず付記することが要求されています。

薬用化粧品の日焼け止めで表現できる効能効果

薬用化粧品は承認された効能効果までを広告表現することが認められています。

日焼け対策商品については「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」といった効果効能を表現できます。ただし、「メラニンの生成を抑え」という「しばり表現」が存在するため、「しみ、そばかすを防ぐ」だけの表現では不十分です。

また、薬用化粧品はあくまで「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」ものであるため、既にできてしまったしみやそばかすへの効果効能をアピールする表現は薬機法に違反します。

「最強の日焼け止め」の表現は違反となるのか?

紫外線による肌への影響を防ぐために、化粧品には「SPF(Sun Protection Factor)」および「PA(Protection Grade of UVA)」という指標が使用されています。これらの値が最大値「SPF50+/PA++++」であることを根拠として「最強の」という表現を見かけます。例え根拠となるデータがあっても「最強」は最上級表現となり、効果効能を保証する意味が含まれ、法令に抵触する可能性があります。

ただし「※SPF値やPA値が最大値であること」のような具体的な情報を提供し、さらに「※会社名またはブランド名内」での自社比較を明示すると記載できる場合がありますが、文脈や見せ方によっては違反となる可能性もありますので専門家に確認することがおすすめです。

「飲む日焼け止め」は健康食品、機能性表示食品!

飲む日焼け止めは錠剤やドリンクタイプがあり、飲むだけで日焼け止め効果が得られるサプリメントとしてSNSやテレビで話題になった商品です。これらの商品は実際には日焼け止めとしての効果は科学的な根拠がほとんどないとされています。

通常の日焼け止めは、紫外線防止剤などが含まれ、SPFやPA値に基づいた効果が評価された「化粧品」あるいは「薬用化粧品(医薬部外品)」です。これに対し飲む日焼け止めは「健康食品」「機能性表示食品」に該当し、広告において「日焼け止め」と表示することは薬機法違反です。
「1粒で紫外線カット」などの表現も科学的根拠は一切なく、虚偽・誇大広告とみなされるため注意しましょう。

Q&A これはOK表現?NG表現?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について解説いたします。

Q:「飲むUVケア」という表現は可能でしょうか?

A:「飲む日焼け止め」そのもののワードだけでなく、同じように解釈される表現も認められていません。そのため「飲むUVケア」という表現もできません。他にも以下のようなワードが「飲む日焼け止め」と同じように解釈されます。

・飲む日差し対策
・飲むだけで紫外線カット
・1粒で紫外線カット
・飲む太陽ケア

Q:「飲む日焼け止め」の言い換え表現があれば教えてください。

A:飲む日焼け止めと言われる商品は「食品」にあたり、日焼け防止効果があるような訴求は一切できません。「美容のために」「健康維持のために」といったサポート表現に留めておきましょう。

Q:「絶対に焼けない日焼け止め」という表現は可能でしょうか?

A:「絶対に焼けない」「完璧な白肌」のような、完全/万能を意味する表現は、保証的表現となり化粧品や医薬部外品では標ぼうできません。これは日焼けが「絶対に」起こらないことは合理的な根拠が得られないと考えられるためです。

まとめ

広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、日焼け対策の効果を最大限に引き出しましょう。

・化粧品の日焼け止めで表現できる効能効果は「日焼けを防ぐ」「日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ」のみ

・薬用化粧品の日焼け止めで表現できる効能効果は「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」のみ

・最上級表現である最強や強力な日焼け止めという訴求は基本的にはNG。具体的な情報や自社比較を明示すると記載できる場合がある

・飲む日焼け止めは食品にあたるため「日焼け止め」と表示することは薬機法に違反する

参考

https://bentenmarket.com/blogs/yakki-ad-expression-sunburn
https://bentenmarket.com/blogs/yakki-sunscreen-supplement
https://bentenmarket.com/blogs/yakki-quasi-drugs-cosmetics-sunscreen

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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