食品・健康食品で「無添加」は表現できる?言い換え含め薬機法・景表法に基づき徹底解説

テーマ「無添加」の広告表現は?食品・健康食品での違反事例や言い換え表現を解説

日常生活でよく耳にする「無添加」という言葉は、実は薬機法や景表法といった法律によってその使用が厳しく規制されていることをご存じでしょうか。「無添加」とは、製品に特定の添加物が含まれていないことを示す表示です。しかし、消費者に誤解を与えないために、この表現を使用する際には厳格な基準を満たす必要があります。

この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

食品・健康食品での「無添加」とは

新人社員Bさん:先輩、「無添加」という表示について話題になっているのをよく耳にするんですが、具体的には何のことなんでしょうか?

先輩社員Aさん:良い質問ですね。「無添加」という表示は、消費者が食品を選ぶ際の指標として非常に重要なものです。今日はその内容について詳しく説明しますね。

新人社員Bさん:お願いします!まず、「無添加」って具体的にはどういう意味なんですか?

先輩社員Aさん:「無添加」とは、食品添加物が原材料の産地から最終加工食品完成までの全工程において一切使用されていないことを指します。これは、製造過程で使われる添加物や原材料で使用した添加物も含まれます。「不使用」や「無添加調理」も同じ意味を持っています。

新人社員Bさん:なるほど。すべての工程で添加物を使用していないことを「無添加」と表現できるんですね。

先輩社員Aさん:実は、日本食品添加物協会が実施したアンケート調査によると、多くの消費者が「無添加」や「不使用」と表示された商品を、表示されていない商品よりも安全だと誤認していたことがわかりました。これが消費者の選択の自由を妨げ、食品添加物に対する誤解を招く恐れがあるため、ガイドラインが制定されたのです。

食品・健康食品での違反事例

新人社員Bさん:ガイドラインでは何が禁止されているんですか?

先輩社員Aさん:容器包装に関して以下10項目の具体的な規制内容があります。ネットの広告でも注意するようにしましょう。特に類型6の「健康、安全と関連付ける表示」をよく見かけます。例えば「無添加だから安心安全」といった表現です。添加物に関しては国で認められた成分なので、無添加であることは安全性の根拠になりません。

類型1:単なる「無添加」の表示

例:単に「無添加」とだけ記載した表示のうち、無添加となる対象が消費者にとって不明確な表示

類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示

例:「人工甘味料不使用」等、無添加あるいは不使用と共に、人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示

類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示

例1:清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」と表示(清涼飲料水へのソルビン酸の使用は使用基準違反である。)

例2:食品表示基準別表第5において名称の規定をもつ食品であり、特定の食品添加物を使用した場合に、同別表第3の定義から外れる当該食品添加物を無添加あるいは不使用と表示

類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示

例1:日持ち向上目的で保存料以外の食品添加物を使用した食品に「保存料不使用」と表示

例2:既存添加物の着色料を使用した食品に、○○着色料が不使用である旨を表示(○○着色料とは、指定添加物の着色料をいう。)

類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示

例1:原材料として、アミノ酸を含有する抽出物を使用した食品に、添加物としての調味料を使用していない旨を表示

例2:乳化作用を持つ原材料を高度に加工して使用した食品に、乳化剤を使用していない旨を表示

類型6:健康、安全と関連付ける表示

例1:体に良いことの理由として無添加あるいは不使用を表示

例2:安全であることの理由として無添加あるいは不使用を表示

類型7:健康、安全以外と関連付ける表示

例1:おいしい理由として無添加あるいは不使用を表示

例2:「開封後」に言及せずに「保存料不使用なのでお早めにお召し上がりください」と表示

例3:商品が変色する可能性の理由として着色料不使用を表示

類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示

例1:同種の製品で一般的に着色料が使用されておらず、かつ、食品元来の色を呈している食品に、「着色料不使用」と表示

例2:同種の製品が一般的に当該食品添加物を使用していないことから、消費者が当該食品添加物の使用を予期していない商品に対して、当該食品添加物の不使用を表示(消費者が当該食品添加物の使用を予期していない例としては、ミネラルウォーターに保存料の使用、ミネラルウォーターに着色料の使用等がある。)

類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示

例1:原材料の一部に保存料を使用しながら、最終製品に「保存料不使用」と表示

例2:原材料の製造工程において食品添加物が使用されていないことが確認できないため、自社の製造工程に限定する旨の記載と共に無添加あるいは不使用を表示

類型 10:過度に強調された表示

例1:商品の多くの箇所に、過剰に目立つ色で、〇〇を使用していない旨を記載する

例2:保存料、着色料以外の食品添加物を使用している食品に、大きく「無添加」と表示し、その側に小さく「保存料、着色料」と表示

引用:食品表示法等(法令及び一元化情報)「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」食品添加物の不使用表示の類型及び食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に該当するおそれが高いと考えられる表示(令和6年7月9日)

新人社員Bさん:なるほど。安心安全という表現は使いやすいので気を付けます。

先輩社員Aさん:消費者は「無添加」や「不使用」と表示された商品が他の商品よりも安全だと誤解しやすいです。しかし、これが食品添加物の有用性や安全性についての誤解を招き、添加物を使用した加工食品全般に対する信頼性を低下させる可能性があります。

食品・健康食品での言い換えテクニック

新人社員Bさん:無添加であることを言い換えてアピールする方法はありますか?

先輩社員Aさん:例えば、以下のような表現であれば可能ですよ!

「〇〇無添加で、自然な美味しさを追求しています。」
「ナチュラル製法を採用し、健康的な食卓をお届けします。」
「純粋な材料のみを使用し、余計なものは一切入っていません。」
「ピュアな成分だけを使い、体に優しい食品をお届けします。」
「シンプルな原材料だけで作ったこの製品は、健康的な食生活をサポートします。」

新人社員Bさん:言い方次第で無添加であることは表現できるんですね!

先輩社員Aさん:そうですね。具体的に何が無添加なのかを明確に示す必要がありますよ!事実でないと表現できないので、必ず事実確認もしましょう。

Q&A この表現言える?言えない?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。

Q. 「無添加」と表示するために必要な条件は何ですか?

A. 「無添加」と表示するには、原材料の産地から最終加工食品完成までの全工程において一切の食品添加物を使用していないことが条件です。製造過程で使われる添加物や、最終的に製品に残る微量の添加物も含みます。また、何が無添加なのかを具体的に記載する必要があります。

Q. 「無添加だから安心」という表現は可能ですか?

A. 「〇〇無添加だから安心」という表現は、消費者の不安感を利用した表示とみなされるため使用できません。「〇〇無添加」という単に無添加であることや「こだわりの〇〇無添加」などであれば表現可能です。

Q. 「人工甘味料不使用」と表示することは可能ですか?

A. 「人工甘味料不使用」という表示は、法律で定められていない用語を用いた表示となり不適切です。他にも人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示は認められていません。

まとめ

・無添加のみでなく何が無添加なのか記載が必要

・単なる〇〇無添加という表示であれば問題ないが、安心や安全と絡めるとNG

・化学調味料、防腐剤、人工甘味料不使用等、人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示はNG

先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。

新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。

先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!

新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。

先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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