化粧品/医薬部外品/美容機器で「保湿」「うるおい」は表現できる?言い換え含め薬機法・景表法に基づき徹底解説

テーマ「保湿」「うるおい」の広告表現は?化粧品/医薬部外品/美容機器での違反事例や言い換え表現を解説

乾燥肌を防ぎ、肌に潤いを与えることは多くの消費者にとって非常に魅力的なポイントです。しかし、これらの「保湿」や「うるおい」といった表現を使う際には、薬機法や景表法といった法律に厳しく規制されていることをご存じでしょうか。化粧品や美容製品を提供する企業は、消費者の注目を集め競争力を高めるためにこうした表現を使用しますが、最も重要なのはこれらの法律の枠組み内で適切に行動することです。

この記事では、マーケティング分野で10年以上の経験を持つ広告運用のプロフェッショナル先輩社員Aさんと、薬機法や景表法は初心者の新人社員Bさんが基礎知識を一緒に学んでいく様子をお届けします。難しい法律もありますが、AさんとBさんの会話を通じて一緒に理解を深めていきましょう!

化粧品・医薬部外品・美容機器での「保湿」「うるおい」表現

化粧品での保湿表現

先輩社員Aさん:今日は化粧品、医薬部外品、美容機器における「保湿」と「うるおい」表現について話しましょうか。

新人社員Bさん:はい、お願いします。まずは化粧品から教えてください。

先輩社員Aさん:化粧品に関しては、薬機法に基づいて認められている56個の効果があります。その中には「皮膚にうるおいを与える」や「皮膚の水分、油分を補い保つ」といった効果も含まれていますので、皮膚の潤いを「保つ」までの範囲で訴求可能です。薬機法では、治療や身体機能に影響を与えるような訴求はできないので「保湿効果アップ」という表現はNGです。

新人社員Bさん:なるほど。具体的にはどんな表現が使えるんですか?

先輩社員Aさん:例えば「肌にうるおいを与える」とか「肌の乾燥を防ぎ、しっとり感をキープ」といった表現です。

参考:化粧品の効能の範囲の改正について (平成23年7月21日)(薬食発0721第1号)各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知より

医薬部外品での保湿表現

新人社員Bさん:医薬部外品についても教えてください。

先輩社員Aさん:医薬部外品は特定の効果・効能を得るために使用される成分が厚生労働大臣により承認されているので、より具体的な効果を謳えます。ただし、医薬品と混同されるような表現は避ける必要があります。例えば「乾燥による肌荒れを防ぎ、うるおい効果を長時間持続させます」といった表現が可能です。

新人社員Bさん:なるほど。医薬部外品は少し具体的に表現できるんですね。

美容機器(雑貨)での保湿表現

新人社員Bさん:最後に、美容機器について教えてください。

先輩社員Aさん:美容機器に関しては、直接的なうるおい効果を謳うことは難しいです。スキンケア製品と併用することでうるおい効果をサポートする形で表現するのが一般的です。例えば「この美容機器を使うことで、スキンケア製品のうるおい効果をサポートします」といった表現です。

新人社員Bさん:美容機器自体にはうるおい効果がないんですね。スキンケアと一緒に使うことでアピールしていきます!

化粧品での違反事例

新人社員Bさん:化粧品ではどんな表現が違反になるんでしょうか?

先輩社員Aさん:化粧品であれば「乾燥肌が治る」とか「24時間保湿」といった肌そのものに変化があるような治療効果や具体的な時間を謳うのはNGです。他にも以下の表現は違反になります。

「乾燥肌が治る」

「保湿効果アップ」

「24時間保湿」

「うるおって敏感肌が改善される」

「皮膚の深層までうるおう」

「うるおいで肌のバリア機能を修復する」

新人社員Bさん:なるほど。治療効果を謳ったりするのはダメなんですね。

化粧品での言い換えテクニック

先輩社員Aさん:法律の範囲内でうるおい効果を伝えるための言い換えテクニックもありますよ。例えば、「しっとり感をキープ」や「潤いを与える」といった表現があります。これなら過度な効果を暗示せずに伝えられます。他にも以下のように56個の効果の範囲内であればアピールできますよ!

「しっとり感をキープ」

「潤いを与える」

「乾燥から肌を守る」

「みずみずしい肌へ」

「肌を柔らかく保つ」

「しっとりとした仕上がり」

「健康な肌を維持する」

新人社員Bさん:なるほど、シンプルに効果を伝えることが大事なんですね。

医薬部外品での違反事例

新人社員Bさん:次に、医薬部外品ではどんな表現が違反になるんですか?

先輩社員Aさん「この製品で乾燥肌が完治します」とか「使った瞬間からうるおい効果が永続します」といった表現は、医薬品としての治療効果を謳っているように誤解されるため、違反です。化粧品とほとんど同じで、他にも以下のような表現は避けた方が望ましいです。

「この製品で乾燥肌が完治します」

「使った瞬間から保湿効果が永続します」

「保湿してアトピー性皮膚炎を治す」

「深層から保湿してシワを消す」

「敏感肌を改善する」

医薬部外品での言い換えテクニック

新人社員Bさん:じゃあ、医薬部外品の場合も言い換えテクニックがあるんですか?

先輩社員Aさん:もちろんです。例えば、「乾燥による肌荒れを防ぎます」とか「うるおい効果で肌を健康に保ちます」といった表現です。これなら治療効果を暗示せずに具体的な効果を伝えられます。他には以下です。

「乾燥による肌荒れを防ぎます」

「保湿効果で肌を健康に保ちます」

「肌の潤いを保つ」

「うるおいを補給する」

「肌をしっとりと保つ」

「健康な肌を維持する」

新人社員Bさん:認められている範囲内で、治療効果を暗示しない表現が大事なんですね。

美容機器(雑貨)での違反事例

新人社員Bさん:最後に、美容機器についてどんな違反例があるんでしょうか?

先輩社員Aさん「この美容機器を使うと肌が潤います」とか「保湿機能付き」といった表現は、美容機器自体にうるおい効果があるかのように誤解を招くため違反です。他には以下のような表現にも注意しましょう。

「この美容機器を使うと肌が潤います」

「保湿機能付き」

「肌の乾燥を治す」

「深層から保湿する」

美容機器(雑貨)での言い換えテクニック

新人社員Bさん:では、美容機器の場合の言い換えテクニックも教えていただけますか?

先輩社員Aさん:もちろんです。例えば「潤いをサポートする」や「保湿ケアと併用して効果的」といった表現が可能です。美容機器自体の効果を過剰に謳わず、スキンケアと併用することでの効果を伝えることが大切ですよ。他には以下のような表現も可能です。

「潤いをサポートする」

「保湿ケアと併用して効果的」

「肌のしっとり感を助ける」

「スキンケアの効果を引き出す」

「うるおいを維持するお手伝い」

新人社員Bさん:とても勉強になりました。ありがとうございます!

Q&A この表現言える?言えない?

ここからは当社でもよくご質問いただく表現について先輩社員Aさんが解説します。

Q. 「この化粧水を使えば、乾燥肌が完全に治ります」という表現は可能でしょうか?

A. 乾燥肌が「治る」といった治療効果を暗示する表現は、医薬品と誤認されるため表現できません。「肌に潤いを与え、乾燥を防ぎます」など、うるおい効果を伝える表現が適切です。

Q. 「24時間保湿が続く」と謳うことはできますか?

A. 実際の効果が24時間持続する証拠がない場合、景表法における優良誤認表示となるため表現できません。「長時間保湿をサポート」といった表現であれば可能です。

Q. 「このローションは肌の水分をしっかり補給します」という表現は可能ですか?

A. はい、これは法律の範囲内の表現です。化粧品が肌の水分を補給することを示しており、過度な効果を暗示しないためです。

Q. 「この美容機器を使うと肌が潤います」という表現は可能ですか?

A. 美容機器自体に保湿効果があるかのように誤解を招くため、この表現は使用できません。「スキンケア製品のうるおい効果をサポートします」といった表現が適切です。

まとめ

・化粧品は認められている56個の効果があり「皮膚にうるおいを与える」や「皮膚の水分、油分を補い保つ」などの表現が可能。

・医薬部外品は特定の有効成分を含むため、より具体的な効果を謳えるが、医薬品と混同される表現は避ける。

・美容機器は直接的なうるおい効果を謳うことは難しく、スキンケア製品との併用でうるおい効果をサポートする形で表現するのが一般的。

・「24時間保湿」など具体的な持続時間を謳う表現はNG。

先輩社員Aさん:広告表現においては、法令遵守と同時に消費者に信頼感を与えることが重要です。事実に基づいた効果を正確に伝え、化粧品の効果を最大限に引き出しましょう。

新人社員Bさん:わかりました。正確で誇張のない表示を心掛けることが大切なんですね。

先輩社員Aさん:その通り。消費者に対して正直で透明性のある情報を提供することが、企業の信頼を築くためにも重要です。薬機法を遵守することで、長期的には企業のブランド価値を高めることができます!

新人社員Bさん:ありがとうございました!薬機法についての理解が深まりました。これからは広告や製品表示に一層注意を払っていきたいと思います。

先輩社員Aさん:どういたしまして。何か不明点があればいつでも聞いてくださいね!

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最後までお読みいただきありがとうございます。

広告表現は表示の受け手である「一般消費者」にどう捉えられるかが争点となりますので、以前はOKだった表現が時代の流れと共にNGとなることもあります。また、見る人が変わればOKだと思われる表現もNGになる可能性も。誰が見ても正しく伝わる表現を意識し、常にアンテナをはって正しい知識を持つことや、プロの見解も交えながら訴求することで、お客様が安心してお買い物できる環境となり、企業も守ることになります。

皆で正しい広告表現を目指していきましょう!

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